My Game, My MLB ー私にとってのMLBとはー
暑い夏の終わりと入れ替わるようにして、世界でいちばん熱い季節に突入した場所がある。それは、レギュラーシーズンが終わり、ポストシーズンが開幕したMLB。
「世界一」を目指すチームと選手たちが繰り広げるドラマのようなゲームの数々は、きっと今年も私たちの心を鷲づかみにする。
そんな今こそ、さまざまな人の熱いMLBへの思いを解き明かそう。
ゲスト：山本萩子（やまもと・しゅうこ）
※回答は全て10月14日のもの。
Profile／山本萩子（やまもと・しゅうこ）
1996年生まれ
日本テレビ系「ZIP！」など情報番組に出演。MLBを中心としたスポーツ情報番組「ワースポ×MLB」(NHK BS)の平日キャスターを2019年から5シーズン担当。日本プロ野球・MLBに精通し、今年の3月に東京ドームで開催された「MLB 東京シリーズ by グッゲンハイム」では中継のMCを担当するなど、スポーツキャスターとして活躍。
ーーここまでのポストシーズンで一番印象に残っている試合は？
ALDSマリナーズ対タイガースの第5戦です。
負けたら終わりの試合、延長15回での決着。これぞポストシーズン、両軍がまさに死力を尽くした戦いで、明日のことなど一つも考えず、ただ目の前の試合をがむしゃらに取りに行くという気迫が、そしてヒリヒリ感が、画面越しにも痛いほど伝わってきました。どの試合もそうですが、やはりチームのエースがブルペンで投球練習を始める瞬間は、何度見ても震えます。
MLB公式が（SNSに）投稿していたマリナーズファンのお客さんの、鬼気迫る表情も印象的でした。私もよくあんな感じの表情で神宮のスタンドにいますが、これがポストシーズンでの１戦となると、込められる思いはまた何倍にもなるのだろうなと…。これぞポストシーズンという一幕を見た瞬間でした。
ーーここまでのポストシーズンで、ご自身の中で最大のサプライズは？
もちろん佐々木朗希投手（23）の起用法…と言いたいところですが、東京開幕戦でのメジャー初登板、あの初回のピッチングから、まるでクローザーのような力感と気迫が感じられて忘れられず、どこかデジャブのように感じたりもしました。とはいえこの大舞台で開花するのは本当にすごいことですし、驚きましたし、とてもうれしいです。どうか健康な状態で完走してほしいなと思います。
あとは、やはりホームランで試合が決まっていることにポストシーズンの真髄を感じます。ブルワーズはレギュラーシーズンであれだけの強さを見せていたけれど、シーズンのチーム本塁打数は全体22位。出塁や走塁など細かい野球が持ち味でしたが、ポストシーズンでは多くの得点をホームランで挙げています。他のチームももちろんそういったシーンが目立っていて、やはり長打力や決定力みたいなものが、ポストシーズンにおいてとても重要だということ、私自身とても学びになりました。
ーーリーグ優勝決定シリーズで活躍する選手を予想してください。
ア・リーグ：カル・ローリー（マリナーズ）
ALCS第１戦。現地放送局の解説で話題になっていた、個人的にも非常に印象に残るシーンがありました。延長15回のタフな試合をから１日挟み、敵地に乗り込んでの初戦。初回、先発のミラー投手はスプリンガー選手に一発を浴びたあと、なおも１死一、二塁のピンチ。トロントの球場はものすごい盛り上がりで、あまりの熱気に思わず飲まれそうな中、ローリーがゆっくりとマウンドに向かい、時間をかけて話をしている姿を見て、とてもひかれました。ここぞという場面での間の取り方に、打撃だけでなく捕手として試合を作る能力に長けているのを感じました。あそこで飲まれていたら、流れは違った気がしますし、このシリーズで攻守において牽引すると予想します。この先もずっと追っていきたい選手の一人になりました。
ナ・リーグ：ウィリアム・コントレラス（ブルワーズ）
こちらも捕手のコントレラス選手を挙げたいなと思います。NLCS第１戦のあのダブルプレーにおける状況判断と冷静さは、まさにイチローさんが評価した「考える野球ができる」の片鱗なのかなと思い、しびれました。長打で決まりがちと言いつつも、やはりミスひとつで流れや雰囲気が180度変わってしまうのがポストシーズンの怖さであり面白さだと思うので、逆に良い守備はのちに乗ってくるきっかけにもなる気がします。
ドジャースでは、相手があの手この手で眠らせたままにしておきたいと考えている大谷翔平選手（31）がトンネルを抜けたら、ついにドジャースが最終形態に入りそうです。
ーーリーグ優勝決定シリーズで勝利するチームを予想してください。
ア・リーグ：マリナーズ
やはりマリナーズかなと思います。あれだけタフな地区シリーズを乗り越えて、ここまで圧倒的な強さを見せていること。本塁打もありながら、積極的に次の塁を狙う姿勢。ホルヘ・ポランコ選手のクラッチ（＝勝負強さ）ぶり。そして前述のローリー選手、さらに投手陣。役者は揃っているのではないでしょうか。
ナ・リーグ：ドジャース
当初は、まだワールドシリーズを制していないチーム同士の対戦が見たい、イチローさんが評価したブルワーズが、イチローさんのマリナーズと対戦するところも見てみたいと考えていましたが、レギュラーシーズンとポストシーズンの強さは全くの別物で、そこを目指したチーム作りがここにきてがっちりとはまっているドジャースが、若干優勢なのかなとも思います。難しいです（笑）。
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