「ミスター・ベースボール」の愛称で広く親しまれたブルワーズの名物ラジオ実況アナウンサー、ボブ・ユーカーさん(享年90)は、生前の数年間、チームがナ・リーグ優勝を果たしてワールドシリーズに進出する姿を見たいという願いを、選手たちに繰り返し語っていた。
球団史上初のワールドシリーズ制覇を狙える位置まで勝ち進んだブルワーズの姿をユーカーさんは生きて見届けられなかった。それでも、ブルワーズが躍進を続けた今秋のポストシーズンでは、至る場面でユーカーさんの存在が感じられる。
「ユーカーさんは、いつもワールドシリーズを見たいと話していました。僕たちが優勝する姿を見たいと願っていたんです」と、ユーカーさんと特に親しかったブルワーズのクリスチャン・イェリッチ(34)は語った。
「その時を一緒に迎えたいと、いつも言っていました。いろいろな意味で、今も僕たちと一緒にいてくれていると思います」
メジャーで捕手としてプレーした現役時代のさえない成績を自虐ネタにし、実況アナウンサー、俳優、テレビCM出演者として活躍したユーカーさん。ブルワーズがほぼ負け知らずで勝ち進んだ今秋のポストシーズンでも、その名前は幾度となく語られてきた。27日(日本時間28日)のワールドシリーズ第4戦でも、がん研究を支援する「スタンド・アップ・トゥ・キャンサー」の恒例行事のために試合が一時中断され、ユーカーさんが改めてしのばれた。
ユーカーさんは2025年1月、肺小細胞がんのため亡くなった。ブルワーズのポストシーズンの試合を最後に実況してから、数カ月後だった。当初、がんと診断された事実は公表されていなかったが、親しい人々は病状を知っていた。イェリッチもその一人だった。追悼する人の名前を書くボードに、誰の名前を書くか、長く考える必要はなかった。
「ふさわしいことだと思います。当然の選択でした」とイェリッチは語った。
チーム全体も同じ思いだった。ダッグアウト前に並んだブルワーズの選手たちをカメラが映すと、全員が掲げるボードには、同じ名前が書かれていた。「UECK(ユーク)」だった。
「ユーカーさんは今も、いろいろな意味で僕たちと一緒にいてくれています。彼をたたえ、これからも一緒に歩んでいきたいと思っています」とイェリッチは語った。
「実際にここにいるわけではありませんが、今も僕たちと一緒にいてくれると思います」
マスターカードとの協力で毎年恒例となっている行事が、ワールドシリーズ第4戦の五回終了後に行われた。試合が一時中断され、選手、監督、コーチ、ファン、審判員を含め球場にいた全員にがんの影響を受けた身近な人の名前を書いたボードを掲げるよう呼びかけられた。現在がんと闘っている人、がんを克服した人、がんで亡くなった人たちに敬意を示すためだ。
レイズのケビン・キャッシュ監督(48)が掲げたボードには「Alyssa F.」と記されていた。チャンドラー・シンプソン外野手(25)は「Aunt Keisha」と「DeMarrio」、ジョナサン・アランダ一塁手(28)は「Alana」と「Lupita」、抑えのブライアン・ベーカー投手(31)は「Aunt Klay」と書き、それぞれの人をたたえた。
FOXの試合前後番組で解説を務める米野球殿堂入りの元遊撃手、デレク・ジーター氏(52)は、ボードに「Gerald Williams」と記した。かつてのチームメート、外野手のジェラルド・ウィリアムズ(享年55)をしのんだ。ウィリアムズ氏は2022年にがんで亡くなった。
MLBと「スタンド・アップ・トゥ・キャンサー(SU2C)」、マスターカードは、2009年に初めて実施されて以来、球場でのこのイベントを中心となって支えてきた。模様はFOXで生中継され、球場内の観客から世界各地の野球ファンまで、がんとの闘いという共通の目的のもとで一つになれる機会となっている。
SU2Cは、革新的ながん研究を加速させ、新たな治療法をより早く患者に届けるために設立された画期的な取り組みだ。設立以来、SU2Cが支援した研究に関連する新たながん治療法が、米食品医薬品局(FDA)から複数の承認を受けたと発表している。
MLBと全30球団はSU2Cの設立当初からの寄付者として、革新的ながん研究プログラムを支援している。詳しくはSU2Cの公式サイト(https://standuptocancer.org/MLB)で紹介されている。

