今井達也の去就は? 先発投手FA市場、注目5投手の行方に迫る

December 5th, 2025

今オフの先発投手市場は、ディラン・シースブルージェイズと7年2億1000万ドル(約325億5000万円)で契約し、幸先の良いスタートを切った。この大型契約で注目株がひとり市場から姿を消したが、来週フロリダ州オーランドで行われるウィンターミーティングに向け、まだ有力どころの先発投手が複数残っている。

フリーエージェント(FA)市場に残っている注目の先発投手5人と、その去就の見通しを紹介する。

ほかのFA投手ほど長い実績はないが、ポストシーズンでの成績は群を抜いている。30歳のスアレスは2025年にキャリア最多の157回1/3を投げ、通算で150イニングを超えたのは3度目。しかし、フィリーズでは過去4年連続でポストシーズンに登板し、11試合(8先発)で4勝1敗、防御率1.48という圧巻の数字を残している。

ここ数週間で複数球団がスアレスに関心を示しており、関係者によれば、アストロズ、カブス、オリオールズが獲得する可能性の高い有力候補だという。他にもメッツやタイガースが争奪戦に参戦しているようだ。

フィリーズは再契約の道を閉ざしてはいない。特にザック・ウィーラーの健康状態が不透明なことを踏まえれば、復帰の可能性は残る。ただし、トッププロスペクトのアンドリュー・ペインターが昇格間近であることや、この冬はカイル・シュワーバーとJ.T.リアルミュートの去就など他の優先事項があるため、スアレスが他球団と契約するのが「現実的なシナリオ」となりそうだ。

今井達也(右投手)

今オフの先発投手市場で最も注目を集める一人が、今井だ。西武ライオンズが11月19日にポスティングを申請し、メジャー球団との交渉期限は1月2日、東部時間午後5時(日本時間3日午前7時)。

27歳の今井は、2025年に163回2/3を投げて防御率1.92、178三振を記録。最速99マイル(約159キロ)に達する速球を含む多彩な球種を武器に過去3年間の防御率は2.18という安定した成績を残している。1年前の佐々木朗希とは異なり、今井は25歳以上で海外プロリーグで6年以上プレーしているため、国際ボーナスプールの制限を受けない。

今井は最近の取材で、大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希と一緒にドジャースに行くより、ドジャースを倒したい、と語っている。

有力候補として名が挙がるのは、ヤンキース、メッツ、レッドソックス、フィリーズ、カブス。またオリオールズも加わる可能性がある。レッドソックスとヤンキースはいずれも日本人投手の大型契約の実績があり、前者は松坂大輔(2006年12月)、後者は田中将大(2014年1月)と契約した実績を持つ。カブスもここ数年で鈴木誠也、今永昇太を獲得。ダルビッシュ有もシカゴで3年プレーした経験があり、日本人選手にはなじみがある。ちなみにドジャースと同地区のジャイアンツは、すでに撤退したとも言われている。

『The Athletic』によると、今井はウィンターミーティング終了後に複数球団を訪問する予定で、オーランドでの会期中に契約が決まる可能性は低いと見られている。

バルデスはスアレスとは異なり、レギュラーシーズンでは「計算できる先発」として長年評価されてきた。2020年に先発に定着して以降、154試合で73勝44敗、防御率3.23。直近4年のうち3年で190イニング以上をクリアし、まさにチームの柱として投げ続けてきた。

ただ、ポストシーズンになると話は変わる。過去5年間で17試合(16先発)に登板し、7勝6敗、防御率4.34。20年と22年は文句なしの内容で、特に22年は「ワールドシリーズMVP級」という声もあった。一方、その他3回のポストシーズンでは、9先発中7度も5回を投げきれなかった。

加えて、満塁弾を浴びた直後に捕手の胸へ速球を当ててしまった騒動が大きく報じられ、気性面への疑問が出たのはマイナス材料。バルデスはGM会議で球団関係者と直接会い、そうした懸念を払拭しようとしたようだ。2025年終盤も調子を落とし、最後の10試合は2勝7敗、防御率6.05と苦しい内容だった。

それでも、今回のFA市場では、先発としては最年長の32歳ながら、先発補強が急務の球団からの注目度は高いという。関係者によれば、メッツとオリオールズが有力候補。どちらのフロントにもバルデスと縁があり、オリオールズのマイク・エリアスGMはアストロズ時代にバルデスの育成段階を見てきた人物。メッツのデービッド・スターンズ編成本部長も、バルデスがアストロズと契約した当時にアシスタントGMを務めていた。

マイケル・キング(右投手)

あるスカウトは最近、「今オフの先発市場で最も才能がある投手かもしれない」とキングを評している。ただ、2025年に度重なった負傷の影響は、先発補強を狙う球団の判断材料にもなっている。

キングは右肩に影響する神経トラブルと左膝の炎症に悩まされ、2025年は15先発で73回1/3にとどまったが、それでも防御率3.44、1イニングあたり1三振以上と内容は悪くなかった。
2024年には13勝9敗、防御率2.95、173回2/3で201三振。平均打球速度や強打率でもリーグ上位に入っており、先発としての地力は証明済みだ。

関係者によれば、最も熱心なのはヤンキース、カブス、メッツ、タイガース。ほかにもオリオールズ、エンゼルス、パドレス、マーリンズなど複数球団がキングの動向を追っている。

ザック・ギャレン(右投手)

2022年にナ・リーグのサイ・ヤング賞投票で5位、2023年に3位となったが、契約前年となった2025年は不振に終わり、防御率は自己ワーストの4.83、ERA+も自己最低の89に落ち込んだ(192回)。
Statcast指標でも多くの項目でリーグ下位に沈み、ほぼすべての分野で成績が下降したことが数字に表れている。

それでも、これまでの実績から「2025年は一時的なスランプ」と見ている球団も多いはずだ。ギャレンは2020~24年にかけて128先発で50勝31敗、防御率3.34と、リーグ屈指の安定感を誇った。2025年も8月以降は本来の姿に近づき、最後の11先発で6勝3敗、防御率3.32と持ち直している。

関係者によると、エンゼルス、ジャイアンツ、タイガースがギャレンに関心を示しており、オリオールズ、カブス、ブレーブスも30歳右腕の動向を注視している。

スアレス、今井、バルデスらが高すぎる、と感じる球団にとって、ギャレンは有力な代替候補となりそうだ。