【ドジャース2-6ブルージェイズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月28日(日本時間29日)
2025年のワールドシリーズ(WS)は再びタイとなった。
28日の第4戦で、ブルージェイズが6-2で快勝し、シリーズを2勝2敗の五分に戻した。ここでは、この日の試合から学んだこと、そしてそれが第5戦に意味することを3つ紹介する。
ブルージェイズが見せた、屈指の粘り強さ
優れたチームは、痛い敗戦から立ち直る術を知っている。特に1年の半分以上、ほぼ毎日試合を行うこのスポーツで勝ち続けるには、それが不可欠だ。今年のブルージェイズはその達人だ。
ア・リーグ優勝決定シリーズでは、マリナーズ相手にホームで開幕2連敗を喫したが、立て直した。第5戦で八回に満塁本塁打を浴びて敗れた後も、再び立ち上がった。そしてワールドシリーズ(WS)の第4戦では、これまでで最も見事な立て直しを見せた。
その前夜、ブルージェイズは延長18回の激闘の末に第3戦を落とし、さらにジョージ・スプリンガーが負傷で離脱した。しかし、そんな苦境をものともせず、先発シェーン・ビーバーが素晴らしい投球。打線はいつものように長打力と粘り強さを発揮した。あの激戦を落とした失望の色は微塵(みじん)も見えなかった。
そして少なくとも、この第6戦でトロントに戻ることが決まった。
ブルージェイズは大谷を毎回歩かせる必要はない
第3戦後には、「残りのシリーズでは大谷翔平をすべて敬遠、もしくは勝負を避けるべきだ」という意見が多数を占めていた。実際、そう考えても無理はない。二刀流のスーパースターは第3戦で最初の4打席で2本塁打、2二塁打と打ちまくり、その後は5打席連続で四球(うち4打席は敬遠)となり、計9度も出塁するという前代未聞の活躍だった。
だが、第4戦でブルージェイズは、大谷との勝負を完全に避ける必要がないことを証明した。確かにビーバーは初回、大谷を6球で歩かせて慎重に入った。だがその後は、三回と五回に空振り三振、七回には二ゴロ。大谷も人間らしい一面を見せた。
確かに、大谷はこの日投手として先発しており、DHとして出場する日と比べれば、打撃でのパフォーマンスは制限されると考えられる。また、ブルージェイズとしては、大谷の後ろを打つムーキー・ベッツ(今シリーズでは沈黙している)との勝負を選ぶ方が得策かもしれない。しかし、「大谷と勝負していては勝てない」という理論は、少々言い過ぎていたようだ。
ゲレーロJr.の存在感
今シリーズの注目はどうしてもドジャースの大スターに集まっている。それも当然だ。大谷の活躍は驚異的だ。だが、ブラディミール・ゲレーロJr.も、それに劣らない存在感を放っている。
その評価は単なる数字にとどまらない(もっとも、今ポストシーズンでのOPS1.306は全打者中トップと数字も際立っているが)。それ以上に、ゲレーロはチームを牽引する存在になっている。第3戦では、守備で驚異的な送球を見せた後、果敢な走塁で勝ち越し点を奪うなど攻守で輝いた。
そして第4戦では、ゲレーロは本来の武器であるバットで勝利に貢献した。大谷の甘く入ったスイーパーを完璧に捉え、レフトスタンドへ運ぶ一発でブルージェイズに2-1のリードをもたらした。本塁打に加え、安打と敬遠でこの日も3度出塁。まさに攻撃の中心にいる。スプリンガーを欠く中で負担はより大きくなっているが、ゲレーロJr.はそのプレッシャーを楽しむかのように躍動している。

