ストーブシーズンが本格化する前から、メッツに関する様々な噂が飛び交っている。複数の選手がトレード候補として名前が挙がっており、意外な名前もあれば納得の名前もある。今回は、それぞれの選手が噂に挙がる理由、そしてトレードが「理にかなう/かなわない」ポイントについて整理する。
一見、千賀は価値が下がった状態で放出されそうに見える。では、メッツはなぜそう判断するのか。
今季、千賀は不調に悩まされながらも、依然として他球団が関心を持つ価値がある。投球メカニクスの乱れや負傷で22先発にとどまり、ラスト8試合の防御率は6.56と崩れたが、前半戦にはナ・リーグのオールスター候補級の投球を披露。2年前にはサイ・ヤング賞投票にも名を連ねた。また、向こう2年間で3000万ドル(約45億円)と、先発中位としては手頃な契約であることも評価ポイントだ。
ではなぜ手放すのか。理由はまず、メッツがすでに先発層を厚く備えているからである。ショーン・マナイア、クレイ・ホームズ、デービッド・ピーターソン、ノーラン・マクレーン、ブランドン・スプロート、ジョナ・トング、クリスチャン・スコットらに加え、次世代の有望株も控えている。千賀はその中でも実力者であることは間違いないが、”6日間隔での登板”というローテーション事情を抱えており、編成上の柔軟性を損ないかねない。トレードに出せば、より実績豊富で信頼性の高い先発投手を迎える枠が確保できる。
もちろん、千賀が移籍先で健康を取り戻し、再び躍動する可能性はある。しかしメッツ側の判断にも合理性はある。
21日に行われた「メッツギビング」チャリティイベントでトレードの噂について問われたビエントスは次のように語った。
「噂なんていつだってある。最近はなるべく携帯を見ないようにして、今やるべきことに集中するようにしている」
ビエントスは今オフ、一塁と三塁の守備練習を同程度こなしているという。ユーティリティ性を高めることは、メッツがピート・アロンソとの契約交渉で選択肢を持つことができる上、ビエントス自身のトレード価値も高める。千賀と同様、短いキャリアで他球団が興味を持つだけの打力を示してきた。しかしメッツには明確な定位置がなく、DH専任として起用される可能性も低いため、放出の可能性は十二分にある。
2023年に4年5000万ドル(約75億円)で延長契約を結んで以来、毎オフのようにトレード候補として名前が上がってきたが、メッツはそのユーティリティ性を評価し、毎回思いとどまってきた。この点は今も変わらない。しかし、契約は残り1年で、年俸1775万ドル(約27億円)は多くの球団が問題視しない額だ。
マクニールを放出すれば、ロニー・マウリシオやその後ろに控えるジェット・ウィリアムズら若手が出場機会を得やすくなる。しかし同時に、複数ポジションで堅実な守備と厄介な打撃を見せてきた手堅い選択肢を手放すことにもなる。2022年以来の好成績を残した直後でもあり、軽々しく売るのは賢明ではない。
デビッド・スターンズ野球運営部長は、メッツが守備力を向上させる必要があると明言している。しかし、アロンソが一塁、ソトが右翼に残る場合、守備改善の余地は非常に限られる。
その限られたうちの一つが左翼で、ニモは5年ぶりにOAA(Outs Above Average=平均よりどれだけ多くアウトを奪ったかを表す守備指標)がマイナスとなった。33歳を迎える来季、守備が劇的に改善する見込みは薄く、打撃も最盛期からは下降気味。健康を維持したとしても、ピーク時の活躍を再現できるかは不透明だ。
しかしニモのトレードには3つの障害がある。
- 37歳までに総額1億250万ドル(約157億5,000万円)を支払う契約
- 完全なトレード拒否権の所持
- ファンから絶大な人気を誇る
これらすべてが、ニモ放出のハードルを極めて高くしており、来季も左翼でプレーする可能性が最も高いと考えられる。
