シーズンの4分の1を終えた今、ホワイトソックスは歴史上でも屈指の“復活ストーリー”を期待させる戦いをしている。
19日(日本時間20日)終了時点で、昨年からの勝率改善幅(+.152)はMLB3位。さらに、比較対象を2年前の2024年まで広げると、現在のペースを維持した場合は+.268と歴代4位級となる。
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2年間の勝率改善幅でこれを上回るのは、以下の3チームだけだ。
- 1902〜1904年 ニューヨーク・ジャイアンツ(+ .340)
- 2021〜2023年 ボルチモア・オリオールズ(+ .303)
- 1912〜1914年 ボストン・ブレーブス(+ .274)
開幕時点でのFanGraphs(ファングラフス)によるプレーオフ進出予想確率はわずか1.2%だったが、もし現時点でシーズンが終了すれば、ホワイトソックスはポストシーズン進出圏内にいる。19日終了時点で勝率5割を2ゲーム上回り、ア・リーグ中地区首位ガーディアンズにも2ゲーム差まで迫っている。
もちろん、まだ仮の話であり、シーズンもまだ序盤だ。しかし、数カ月単位ではなく、複数年において成長と改善が見られている以上、ただの偶然ではないとみることもできるだろう。
では、この躍進はどれほど本物なのだろうか。
この予想外の快進撃を支えているのは、打撃の向上だ。ホワイトソックスは得点力の改善幅でMLB4位。さらに印象的なのは、球場補正などを加味した指標、wRC+で、前年からの改善幅がMLBトップなことだ。
昨季はwRC+88と、リーグ平均を12%下回りMLB27位だった。しかし今季は104まで上昇し、カージナルスと並ぶMLB8位タイとなっている。
投手陣は昨季大きく改善し、今年はそこからほぼ横ばい。ただしノア・シュルツのような若手有望株がおり、29歳のデービス・マーティンも大ブレイクを見せている。だからこそこの勢いが続くかどうかは、このwRC+16%向上と得点力アップが“本物かどうか”にある。
特に改善されているのが長打力だ。長打率は昨季の.373から.405へ32ポイント上昇し、改善幅はMLB3位。67本塁打はブレーブスと並んでMLB2位で、上回るのはヤンキースの73本だけだ。
そして、この長打力の向上は、”本物”と見て良さそうだ。打撃の質を表す指標も改善しており、単なる偶然ではないことが伺える。
スタットキャストによれば、ホワイトソックスはフライとライナーを引っ張った割合(38.1%)でMLB4位。また、全打球に占める引っ張った空中打球の割合(20.1%)でも7位につけている。引っ張った空中打球は、最も価値の高い打球タイプとされている。
昨年はそれぞれ同18位と同13位で、さらに2024年まで遡ると27位と24位だった。同打球はアプローチ、スイング軌道の改善によって伸ばせるスキルであり、新たなコーチ陣と育成体制の下で、明確な成長が見られる。また、この指標は約150打球程度で安定し始めるとされている。
バットスピードも同様だ。チームの平均を昨年と比較すると、メジャー27位の71.1マイル(約114.4キロ)から、同16位タイの72マイル(約115.9キロ)まで向上している。バットスピードの向上もシーズン序盤から現れやすく、数週間で安定する指標。つまり、現時点でこれらの変化が見られることは、偶然よりも実力によるものだとみることができる。
この得点力向上の多くは、デレク・ショーモン打撃コーチの下で復帰組が成長したことによるものだ。昨年のブルージェイズのように、コーチ陣や育成スタッフは打者のアプローチや根本的なパフォーマンスへ短期間で大きな影響を与えることがある。
選手個人に焦点を当てれば、今季最も成長した打者の1人がミゲル・バルガスだ。すでに11本塁打を放ち、wRC+は37ポイント上昇して138と、エリート級に到達している。ブレイクを支えているのが平均バットスピードの向上で、70.6マイル(約113.6キロ)から73.7マイル(約118.6キロ)へ上昇し、MLB全体での順位も上位75%台から30%台まで伸びた。
フルシーズン1年目となるコルソン・モンゴメリーも、13本塁打を放ち、wRC+130前後を記録している。引っ張った空中打球の割合は29.1%と、エリート級の成績を残している。
さらに明るい材料は野手陣の若さだ。出場機会を加味した平均年齢はわずか26歳で、MLB4番目の若さとなっている。
また、内部の成長だけでなく、オフの補強にも成功した。そう、村上宗隆である。ア・リーグトップの17本塁打に加え、wRC+157を記録。この冬に2年3400万ドル(約53億円)で契約した際は、「コンタクト率が足りるのか」という疑問もあった。近年のMLB球団は、長打偏重型のコーナーポジションの選手への投資に慎重な傾向もある。
しかし、一部の公開予測システムは、村上がNPBでの打撃をMLBでも再現し、wRC+130級の打者になると高く評価していた。他球団は、村上のバットスピード(75.2マイル=約121.0キロ)、打球の質、そして選球眼をもっと重視すべきだったのかもしれない。
空振り率が高い打者でも成功している選手は、「四球を多く選ぶ」「本塁打を量産する」という2点を兼ね備えている。そして幸運なことに、村上はその両方を“超一流”にこなしている。
村上は打球の質が極めて高く、コンタクト率の低さを補っている。フライ率47%はMLB打者の上位12%台。さらに打球速度95マイル(約152.9キロ)は同1%台、バレル率22%も同2%台と、本塁打王に相応しい成績を残している。
さらに、内野フライ率6.4%は上位25%台と、フライの多い打者としては非常に優秀だ。ポップフライは、三振と同じくほぼ自動アウトとなるため、この割合が低いことが、三振率32.5%と高い中でも打率.240を維持する助けになっている。
村上の優れた選球眼(四球率上位2%台)も、高い攻撃力の下支えになっている。確かに、これほどコンタクト率が低い中で結果を残すのは珍しい。しかし、選球眼と打球の質がほぼ上位1%台なら、十分に強力な中軸打者になれる。
球団内には、村上が数字以上の価値を打線にもたらしていると考える人もいる。チェイス・マイドロスや、1番打者として活躍する新人サム・アントナッチら若手へのプレッシャーを軽減し、打線全体を厚くしているという見方だ。
もちろん、シーズンはまだ長い。プレーオフ予測でも、ホワイトソックスは依然として“ダークホース”扱いだ。しかし打線の改善は非常に現実的であり、さらに成長する可能性も残している。
このシンデレラストーリーが9月のプレーオフ争い、あるいは10月まで続くかは分からない。それでも、ホワイトソックスが確実に上昇軌道に乗っていることだけは間違いない。
