ブルワーズは昨年のレギュラーシーズンで、ドジャースに6戦全勝だった。だが、その後に何が起きたかは、ご存じの通りだ。ナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)では4連敗。ドジャースの先発、ブレイク・スネル、山本由伸、タイラー・グラスノー、大谷翔平に封じ込められ、4試合ともわずか1得点に終わった。
今年のドジャース戦は4勝3敗。8月には敵地での重要な4連戦を勝ち越した。
「粘り強く戦うつもりだ。僕らは自信を持っている。素晴らしいシリーズになると思っているよ」とクリスチャン・イエリチは語った。
今年のブルワーズは違う。そう考える理由をいくつか挙げよう。
1.昨年は疲れ切っていた
これは筆者の見立てではない。緊張と感情の高ぶりに満ち、さまざまなドラマを伴ったカブスとのナ・リーグ地区シリーズ(NLDS)を5試合戦い抜いた後の状態について、ブルワーズ自身がそう捉えているのだ。パット・マーフィー監督は、チームが心身ともに消耗していたと振り返った。クリス・フック投手コーチも、7日(日本時間8日)にサンディエゴでNLDS突破を決めた後、同じことを口にした。
「こうした経験は何度かしてきた。この種のプレッシャーにさらされるほど、その環境にも慣れていく」と、再びドジャースと対戦することについて尋ねられた際に応えた。
「昨年は残念な結果だった。私たちは限界に近づいていたと思う。クラブハウスの活力が底をつきかけていた。カブスを倒すために、多くを使い果たしてしまったんだ。見ての通り、今年は違うチームだ。戦う準備はできているよ」
MLBの最新ニュースを見逃さない!
- 【毎週日本時間金曜配信】日本語版ニュースレターに登録
- 【自分のスタイルでMLBを楽しむ】日本語公式アプリをダウンロード
- 【2026年より開設!】MLB Japan公式Youtubeチャンネル
2. ジェイコブ・ミジオロウスキーを万全の状態で第1戦に送り出せる
昨年のNLCS第1戦では救援左腕アーロン・アシュビーをオープナーに起用し、その後に本調子ではないクイン・プリースターを登板させたが、その時には後に診断された胸郭出口症候群の初期兆候が出ていた。第2戦はフレディ・ペラルタに託した。オールスター選出歴があり、長年ブルワーズで安定した成績を残してきたが、直前のカブスとのNLDS第4戦では打ち込まれていた。
続くドジャースタジアムでの第3戦でも、アシュビーをオープナーとして先発させ、その後をミジオロウスキーに任せた。ミジオロウスキーはシーズン後半に大きく調子を崩し、先発ローテーションを外れ、ポストシーズンの登録メンバーからも外されかけていた。そして第4戦に先発したのは、9月にふくらはぎの肉離れを負ったベテラン左腕ホセ・キンタナだった。
今年のブルワーズは、はるかに良い状態で先発陣を組める。4試合でNLDSを突破し、第5戦でミジオロウスキーを登板させずに済んだため、右腕は十分な休養を取り、11日の第1戦に備えられる。第2戦にはローガン・ヘンダーソンが続く。レギュラーシーズンとポストシーズンを合わせて通算24試合に先発しているが、いまだに1度の登板で4失点以上を喫したことがない。
だが、その後については、いくつか不確定な部分がある。まず、パドレスとのNLDS第3戦で今ひとつの投球だったダスティン・メイを、引き続き先発で起用するかどうかだ。一方、左腕ロバート・ガッサーは、この舞台で戦えることを証明している。レギュラーシーズン最後の6登板を防御率1.67で締めくくった。長いイニングを任せられる他の選択肢として、左腕のシェーン・ドロハンとカイル・ハリソンもいる。
3. イエリチが絶好調
試合数が少ない点には注意が必要だが、パドレスとのNLDSで記録したOPS.900は、イエリチにとってポストシーズンで屈指の成績となる。
- 2023年ナ・リーグワイルドカードシリーズ、対ダイヤモンドバックス:8打数4安打、二塁打1、2四球、OPS1.225
- 2018年NLDS、対ロッキーズ:8打数2安打、本塁打1、6四球、OPS1.196
- 2026年NLDS、対パドレス:14打数5安打、二塁打1、2四球、OPS.900
パドレスに敗れた第3戦で放った適時打は、イエリチにとって、2018年NLCS第7戦の初回にドジャースから放った本塁打以来となる、20試合ぶりのポストシーズンでの打点だった。過去のポストシーズンと違うのは、自分が打線を背負うプレッシャーを感じすぎていないことかもしれない。
「いい打席を重ねて、次の打者につなぐことだけに集中している。ただ、チームのためになる打席をしようとしている。まずはそこからだ」
4. ブルペンの充実
ブルワーズはNLDSでアシュビー、アブナー・ウリーベ、トレバー・メギルを多く起用した。救援陣が投げた計19回のうち、3人で12回2/3を担い、第4戦では最後の5イニングも任された。それでも、NLCS第1戦までには全員が3日間の休養を取れる。昨年のメギルはレギュラーシーズン終盤の離脱につながった右前腕の肉離れからまだ復帰して間もなかったが、今年は万全の状態だ。
この3人だけではない。D・L・ホールはここ数週間で、勝負どころを任される存在へと浮上した。チャド・パトリックも、昨年のポストシーズンで同じ役割を担えることを証明している。トレード期限に加わったジョジョ・ロメロとアントニオ・センザテラも安定しており、ドロハンやハリソンのように長いイニングを投げられる投手もいる。彼らの存在により、複数点のリードを許した場面で、勝負どころを担う投手を消耗させずに済むはずだ。
「左右どちらの打者にも対応できる投手がいる。球速があり、変化球も一級品。そして、選手たちは自分たちならやれると、本当に理解し、信じ始めていると思う。シーズン最後の3週間から、こうした戦い方を続けてきた。これからに向けた、とても良い予行演習だった。それが実を結ぶのを見るのは素晴らしい」」とフック投手コーチは語った。
5. マウンドに大谷はいない
ブルワーズファンには、蒸し返して申し訳ない。ただ、一応振り返ると、大谷は昨年、ドジャースタジアムで行われたNLCS第4戦に先発し、6回無失点、10奪三振を記録したうえ、3本塁打を放った。ポストシーズンかどうかを問わず、メジャーリーグ史上最高の1試合のパフォーマンスだっただろう。
今年、ブルワーズが警戒すべきなのは打者としての大谷だけだ。もちろん軽視はできないが、9月のOPSは.566。その後のブレーブスとのNLDSでは13打数2安打に終わり、第3戦ではドジャース加入後で最も低い打順となる5番まで下がった。
「彼が大きな働きをしなくても、試合に勝てると分かったのは良かった。でも、彼は必ず目を覚ます。その時は来る」とドジャースのデーブ・ロバーツ監督は語った。
ブルワーズは、そうなることを今年こそは阻もうとしている。
