【賛否比較】ドジャースはスミスを復帰させるべきか?

October 5th, 2025

右手にヒビを負ってからおよそ4週間。ドジャースの捕手ウィル・スミスが、少しずつ完全復帰に近づいている。

ナ・リーグ地区シリーズの初戦では、五回にベン・ロートベットの代打として登場。そのまま残りのイニングも出場を続け、5-3の逆転勝利に貢献した。

スミスは9月3日(日本時間4日)にファウルチップを受けて以降は、レギュラーシーズンでわずか1試合にしか出場していない。最初は打撲と診断されたが、その後も痛みが残り、結局は負傷者リスト入りとなった。

ドジャースは5日の休養日を経て、スミスを第2戦でスタメンで起用するかどうかを判断する予定。デーブ・ロバーツ監督は6日の午後に決断すると説明した。

「彼が『完全に問題はない』と言うなら、正直スタメンから外すのは難しいかもしれない」とロバーツ監督は語った。

以下は、スミスを第2戦でスタメンに戻すべきかどうかの「賛否」だ。

「賛」

9月初旬にケガをする前、スミスはキャリアで最高のシーズンを送っていた。打率.296、OPS.901、そしてOPS+152(100を平均とする)はフルシーズンでのキャリアハイだ。

例年は、シーズン後半に成績を落とす傾向があったスミスだが、今季は新人ドルトン・ラッシングとの併用だったこともあり、疲労を溜め過ぎずに最後まで好調を維持できた。ただし8月は打率.159、OPS.630とスランプに陥った時期もあった。

第1戦では2打数無安打だったが、死球で出塁し、七回にテオスカー・ヘルナンデスの3ランで生還した。また、負傷者リスト入り以降、久しぶりに実戦形式で投球を受ける機会となった。

「久々にグラウンドに立てて良かった。緊張もあったけど、投球を見る感覚を取り戻せた。あの雰囲気の中にいきなり放り込まれたけど、いい経験になった」とスミスは試合後に語った。

スミスがスタメンを外れても、ドジャースはポストシーズンでここまで全勝。しかし、オールスター捕手がいる時のほうがチーム力が上がるのは明らかだ。あとは、スミスが9イニングを守り切れるかどうかにかかっている。

スミスは初戦に出場する前から、「9回を通して守れる」と感じていた。実際に試合の半分をプレーしてみて、その確信はさらに強まったようだ。

「否」

スミスが復帰すれば、ドジャースは理論上は、約1カ月ぶりにベストメンバーを揃えられることになる。しかし、それがチームにとって最善の選択かは分からない。

理由は、スミス不在の間にレイズから三角トレードで獲得したロートベットが予想以上の活躍をしているからだ。とりわけ、先発陣と相性が抜群。ドジャースの先発投手陣は、9月6日にロートベットが正捕手を任されて以降、24試合で防御率1.64を記録している。(ポストシーズンの3試合を含む)

一方、リリーフ投手は同期間で防御率4.98と、シーズン通算の4.29から悪化している。ただ、これはどちらかといえば、ロートベットというよりも、救援陣の問題であることは否めない。

守備面での影響以上に、約1カ月ぶりの復帰は、どうしてもリスクが伴う。スミスをいきなりフル出場させず、初戦のようにロートベットをスタメンで起用し、途中からスミスを代打で送るのが現実的だろう。

「スミスは通常の復帰プロセスを踏めていない。脚の状態、キャッチングの感覚など、本来なら徐々に取り戻す期間が必要だ。加えてポストシーズン特有の緊張感、試合の長さもある。4イニングほど守らせ、その後も同じプランを繰り返すのがベストかもしれない」とロバーツ監督は語った。

要するに、ドジャースは「ポストシーズンの重要性」と「主力選手のケガ再発防止」という二つのバランスを取らなければならない。スミスがスタメンに名を連ねるかどうかにかかわらず、その存在自体がドジャースのポストシーズンの鍵となるだろう。