カル・ローリーは落胆を隠すことができなかった。
マリナーズの主砲は、ラスベガスで行われたオールMLBアワードの式典でアメリカン・リーグMVPの次点だったことを知った時、カメラの前でインタビューを受けていた。礼儀正しく祝意も示していたが、多くは語らなかった。
それから3カ月後。2019年以来最も接戦となったMVP投票について、より率直に振り返った。全米野球記者協会の投票30票のうち、アーロン・ジャッジが17の1位票を獲得し、ローリーは13票だった。
「勝ちたいと思うものだから、当然がっかりはする。でも彼は素晴らしい選手だし、前例のないようなことをやっている。祝福したい。でも接戦になると、どうしても『もっとできたことはなかったか』という気持ちは残るよ」とローリーは語った。
しかし、実際に「もっとできたこと」がどこまであったかは分からない。
ローリーは60本塁打を放ち、捕手およびスイッチヒッターとしての最多記録を更新。さらにこれは、ジャッジが2022年に記録したア・リーグ記録62本(自身初のMVP受賞年)に2本差まで迫る成績だ。加えて、マリナーズを2001年以来となるア・リーグ西地区優勝へ導き、ホームランダービーでも優勝。野球で最も過酷とされるポジションを守り続けた。
だからこそ、打率.331、出塁率.457、長打率.688(OPS1.144)でMLBトップに立ったジャッジとのMVP争いは、ポストシーズンを前に球界最大の論争となった。
「常に目の前にあった感じだった」とローリーは語る。
「クラブハウスでウォーミングアップしているとMLBネットワークが流れていて、その話題ばかりだった。でも大事なのは、必要なことに集中すること。自分をここまで導いたことを繰り返すことだと思う。成功するために必要なことを続け、日々正しいことを積み重ねる。そして罠にハマらないこと、うぬぼれないことだ」
マリナーズがア・リーグ優勝決定シリーズで敗れてから、MVP発表までは3週間空いた。悔しさを受け止め、前を向き始めるには十分な時間だったが、その一方で議論が再燃する時間も生まれた。
「いろいろ耳に入ってくる。自分も人間だからね」とローリーは語った。
「携帯を見れば、メッセージや電話、SNSでいろんなことを言われる。でもそれはそれとして受け止めればいい。自分はワールドシリーズ優勝のように、もっと大きなものを目指しているからね」
タイトルを最優先に考える姿勢は常にローリーの中心にある。2025年に個人タイトルが次々と加わる中でも、それは変わらなかった。そしてこの春、その思いはさらに強まっている。今度はワールドベースボールクラシック(WBC)で米国代表の正捕手として脚光を浴びることになる。
代表の主将であるジャッジとは、オフに何度か連絡を取り合った。最初はローリーが直接ジャッジを祝福し、その後、ジャッジがアリゾナを訪れた際にも顔を合わせた。MVPを競った間柄だが、わだかまりは一切なく、ローリーはむしろその真逆の性格だ。
「誰もがアーロン・ジャッジにまず聞きたがるのは『打ち方を教えて』とか『自分のスイングについてどう思う?』ということだ」とローリーは語った。
「でも今は自分がどういう選手か分かっている。もちろん学べることは学びたい。ただ、彼は大都市で強いプレッシャーを背負いながら、よく知られた球団を率いて勝利を求められている選手だ。そんな立場で、他のリーダーが何をしているのか知りたい。考えを聞きたい。できるだけ多くの情報を吸収して、それを整理し、自分のプレーや姿勢に取り入れたいんだ」
ローリーは2月末頃にWBCへ向けて出発し、数週間マリナーズを離れることになる。プールラウンドは3月4日に始まり、決勝は3月17日に行われる。脚光を浴びる舞台であると同時に、ポストシーズンさながらの緊張感も味わえる大会だ。それは昨年のポストシーズンでの経験をさらに積み重ね、2026年の新たな挑戦へとつなげる機会にもなるだろう。
