キャリアの最終章に差しかかったクレイトン・カーショウは、どんな役割でも受け入れる覚悟を決めている。
ドジャースのナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS=7回戦制)のロースター(出場選手登録メンバー)に、カーショウは含まれていた。フィリーズとの地区シリーズ(NLDS)では不本意な登板に終わったが、それでもレジェンドへの信頼は揺らがない。デーブ・ロバーツ監督は、カーショウにどの程度の出番を与えるかは未定としつつも、「彼はどんな役割にも対応する準備ができている」と語った。カーショウは2023年以降のポストシーズン2試合で計10失点を喫している。
「彼は常に『チームの勝利のためにできることを何でもしたい』という姿勢を貫き、実際、それを体現している。私は彼がこのシリーズで勝利に貢献してくれると信じている」とアンドリュー・フリードマン編成本部長は語った。
今季限りでの引退を表明しているカーショウは、近代野球史において最も輝かしい実績を誇る投手の一人。ナ・リーグのサイ・ヤング賞3回、MVP1回、オールスター選出11回、そしてワールドシリーズ優勝2回。数えきれない栄光をつかんできた。
しかし、ポストシーズンでは通算防御率4.63と苦戦が続き、37歳となった今、かつての圧倒的な支配力は影を潜めつつある。今季レギュラーシーズンでは22先発1救援で防御率3.36を記録したものの、投球内容はキャリア最低水準だった。
カーショウは球速で勝負するタイプではない。しかし、10月の野球では球速が重要なのも事実。NLDS第3戦では、フィリーズ打線に2イニングで5失点し、チーム唯一の黒星を背負った。
それでも、カーショウはカーショウだ。記念でNLCSロースター入りを果たした訳ではない。ロバーツ監督は、右打者・左打者を問わず抑えることができる“複数イニング投手”としての起用を視野に入れていると語った。
地区シリーズでは、先発陣を中心に投手運起用が行われ、佐々木朗希、エメット・シーアン、アレックス・べシアの3人がリリーフの大部分を担った。しかし、7試合制となるNLCSでは、カーショウにも、より重要な局面で出番が巡ってくる可能性がある。
何より、歴史を積み重ねてきたその背中は、チームメイトに信頼され、活力を与える。
「彼は将来、ドジャースタジアムの前に銅像が建つ男だ。それを忘れずにいてほしい。カーショウは間違いなく1回目の投票で殿堂入りする男で、野球史上最高の投手の一人なんだ」と、ムーキー・ベッツはカーショウの登板後に語った。
