情熱、スター性、そして抜群の存在感。ワールドベースボールクラシック(WBC)は、フェルナンド・タティスJr.のためにある舞台といっても過言ではない。
「こういう舞台のために生まれてきた」とタティスJr.は2月27日、WBCに向けてパドレスのキャンプを離れる直前に語った。
タティスJr.はまだその舞台に出場したことがない。2021年大会は新型コロナの影響で中止となり、2023年大会では薬物規定違反による出場停止処分中で参加できなかった。念願の初出場となる。
「子どもの頃からの夢が叶った。今、人生とキャリアのこの段階で実現できるのはすごく特別だ」と語る。
タティスJr.はこの瞬間を存分に味わおうとしている。彼のインスタグラムのストーリーを見れば一目瞭然だ。野球を通して、親友や同胞と時間を過ごし、満面の笑みを浮かべている姿が想像できる。
2026年ワールドベースボールクラシック
ここ数日はまさにそんな様子だ。3月2日(日本時間3日)には、ドミニカの青と赤に彩られた「Tatis 23」のユニフォームが並ぶロッカーに到着した動画を投稿した。その瞬間が彼にとってどれほど特別か、想像に難くない。
今大会の出場選手たちは過去大会を見て育ち、出場を夢見てきた世代が多い。サンペドロ・デ・マコリス出身のタティスJr.も例外ではなく、2013年、当時14歳の時にドミニカ共和国唯一のWBC優勝を目の当たりにした。一試合も見逃すことはなかった。
「一度も負けなかったし、本当にすごかった。でも、あの再現ができるドミニカ代表があるとすれば、それは今の俺たちだ」とタティスJr.は振り返る。
実際、ドミニカのロースターは豪華だ。タティスJr.はチームメートのマニー・マチャド、元同僚のフアン・ソトとともに戦う。打線にはブラディミール・ゲレーロJr.、ケテル・マルテ、ジュニオール・カミネロ、フリオ・ロドリゲスらが名を連ねる。先発陣はクリストファー・サンチェスとサンディ・アルカンタラが軸だ。
アメリカ代表と侍ジャパンが優勝候補とされる中、ドミニカもそれに劣らない存在だ。2023年大会ではグループステージ敗退に終わったが、今回は明らかに別のチームである。
まず何より、タティスJr.が加わっている。そして彼はいつも通り自信に満ちている。先月、日本代表との対戦について問われた際も、「彼らはエグい。でも俺たちが勝つね」と言い切った。
当然、その発言は大きな見出しとなった。タティスJr.らしい大胆さである。しかし、その裏にある祖国を代表して戦うことへの深い敬意は、あまり伝わっていない。
「美しい経験になる」と彼は語った。
さらに、父フェルナンド・タティスSr.がアルバート・プホルス監督のスタッフとして参加する点も特別だ。
「これまでも一緒にやってきた。でもWBCでできるのは最高だ」とタティスJr.は話す。
タティスJr.は父が率いるエストレージャス・オリエンタレスでウインターボールを戦った経験があるが、WBCでは初めてである。なお、タティスSr.は2009年大会にドミニカ代表として出場した。
マチャドは「彼の父親がスタッフにいて、初めて母国のユニフォームを着て、ドミニカでプレーする。そのすべてが特別だと思う。その一部になれるのも特別だ。彼の初打席にも立ち会ったし、メジャーでの“初めて”をいくつも一緒に経験してきた。今回もきっと、さらに特別なものになる」と語る。
マイアミでのグループステージ前、ドミニカはタイガースとのエキシビションマッチを2試合を行う。これは昨年4月に発生したジェットセット・ナイトクラブの悲劇の犠牲者を追悼することも目的で、MLBはこのイベントの一環としてドミニカ赤十字へ寄付を行う。
2023-24年オフのウインターボール以降、母国で試合をしていないと語るタティスJr.。だからこそ、今大会は「本当に大きな意味がある」と語る。
「自分の出身地、家族、自分のアイデンティティ、文化。ドミニカを代表できることが本当にうれしい。あの小さな島から来られたことを心から誇りに思う」
