【準々決勝】「イタリア野球を強くしたい」セルベリ監督の熱き挑戦

1:40 PM UTC

ネイビーカラーのスーツで球場入りし、本塁打が飛び出せば、エスプレッソと熱いキスの嵐で出迎える。ダグアウトには、たちまち”イタリア”の風が吹き抜ける。

イタリア代表は強豪ひしめくプールBで快進撃を続け、4連勝で首位通過。堂々と準々決勝進出を決めた。

チームを率いるのはフランシスコ・セルベリ監督。ヤンキース、マーリンズ、パイレーツなどでプレーした元捕手で、ヤンキース時代にはワールドシリーズ制覇にも貢献した。今大会ではヤンキース時代の同僚、ホルヘ・ポサダをコーチに招へいし、経験豊富なレジェンドの知見をチームに注ぎ込む。

余談になるが、イタリア代表がスーツ姿で球場入りするのは、ヤンキース時代のジョー・トーリ監督の教えによるものだ。

セルベリ監督は昨年1月、強い覚悟を胸にイタリア代表とU-23代表の指揮官に就任した。

掲げるテーマは明確だ。

「野球文化の浸透、若手選手の育成、そして長期的な強化」

今大会のイタリア代表ロースターで、イタリア在住の選手はガブリエル・クアトリーニ投手を含め、わずか数名。多くは米国在住のイタリア系メジャーリーガーやマイナーリーガーが占める。

短期間で結果を出すために今回はそういった選択肢をとったが、セルベリ監督は、将来的にはイタリア生まれの選手の割合を増やしたいという強い思いを抱く。

その目標を実現するため、セルベリ監督は選手発掘のためにイタリア国内を精力的に駆け巡った。2025年7月には、U-23欧州選手権に向けて20人の若き戦士を招聘した。

「イタリアでは週に2試合しかないので、スカウティングが大変だった」と振り返る。それでも国内リーグを縦横に視察し、選手一人ひとりを直接チェック。セリエAもB(イタリア野球のトップリーグとその下部リーグ)も関係なく若手の才能を見極め、育成と強化に全力を注いできた。

「長期的なプロジェクト。今の努力が、数年後のチーム力につながると信じているからね」

U23チームでも、年齢にこだわらず、才能と規律、そして野球センスを備えた選手を選び、「17歳でも18歳でも、代表に値するならチャンスを与える」と胸の内を明かす。

その視線は、3年後のオリンピック、そしてその先にあるイタリア野球の未来を見据えている。

イタリア出身ではないセルベリの監督就任に、さまざまな意見があったことも理解している。だからこそ、イタリア野球の発展のために全力を尽くす覚悟だ。

「イタリアでの野球への関心を高め、新しいファンを球場に呼び込みたい。そして、選手たちがプロになる手助けをし、フィールドの上だけでなく日常生活でも、このスポーツを通して彼らを支えていきたい」と語る。

「野球は、どんなに優れた選手でも挫折を味わうスポーツ。敗北や失望への向き合い方を学ぶことができる。複雑なスポーツだからこそ、野球は非常に魅力的なんだ」

今大会での躍進は、イタリア議会や国内ニュースでも取り上げられたほか、準々決勝はインターネット配信ではなく、イタリア国営放送局「RAI」でのテレビ放送が決定。国内の関心も一気に高まっている。

とはいえ、セルベリ監督の挑戦はまだ始まったばかりだ。ロサンゼルス五輪の野球競技は、開催国の米国を含むわずか6カ国が出場する狭き門。その出場権獲得、そしてさらなる飛躍を大きな目標に掲げている。