ワールドシリーズ、ファクターXは屋根!?

October 23rd, 2026

ワールドシリーズで球場を見上げれば、アメリカンファミリーフィールドとトロピカーナフィールドには屋根がある。今回、史上初めてワールドシリーズの全試合が屋内で行われる可能性もある。

さらに、打球が屋根に当たったり、トロピカーナフィールドでは屋根を支える構造物に当たったりして、試合の行方を左右する可能性もある。

ミルウォーキーの緑色の鉄骨も、セントピーターズバーグで4層のキャットウォークの上に広がる、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でコーティングされた白いガラス繊維膜も、単なる屋根ではない。試合の展開に関わる「脇役」になる可能性がある。

しかも、そのうち一つには専用の電話番号まである。ミルウォーキーでは、アメリカンファミリーフィールド屋根情報ホットライン(414-902-4636)に電話すると、その日の試合で屋根を開けるか閉じるかを知らせる録音メッセージを聞ける。球場へ向かう前、服装を決めるファンにとって便利なサービスだ。

米国立気象局によると、ミルウォーキーで行われる第1、2戦は試合開始時の気温が華氏60度前後(約16度)になる見込みで、屋根は閉じられる可能性が高い。

ワールドシリーズが第3、4戦、必要なら第5戦でタンパベイへ移ると、屋根を開ける選択肢自体がない。

そして、その要素が勝敗に絡んだとしても、今季初ではない。

ブルワーズはパドレスとの地区シリーズ第1戦後、屋根に救われた幸運に感謝していた。想像もつかないほど奇妙な結末を迎え、ブルワーズが3-2で勝利。九回、タイ・フランス(32)が放った勝ち越し本塁打になり得た打球は、左翼深くの上空に張られた屋根のケーブルまたは構造物に当たり、左翼手ジャクソン・チューリオ(22)のグラブに収まって2アウトとなった。

障害物に当たらなければどこに落ちていたか、今も意見は分かれる。打球を見やすい角度から確認していたパット・マーフィー監督(67)と三塁手ジョーイ・オルティス(28)は、ともにファウル方向へ向かっていたと主張。一方のパドレスには、当たらなかった場合の展開を考えずにはいられない結末となった。

グラウンドルールを知っていれば、アウトだと分かっていた。

ミルウォーキーのメディアガイドには、こう記されている。

屋根とケーブル
インプレー: フェア地域の上空で打球が屋根、屋根の鉄骨、または屋根のケーブルに当たった場合。(捕球されれば打者はアウトとなり、走者は自己責任で進塁できる)

ボールデッド: ファウル地域の上空で打球が屋根、屋根のトラス、または屋根のケーブルに当たった場合。

ファウル: フェア地域の上空で打球が屋根、屋根の鉄骨、または屋根のケーブルに当たり、ファウル地域に落ちた場合。

フェア: フェア地域の上空で打球が屋根、屋根の鉄骨、または屋根のケーブルに当たり、フェア地域に落ちた場合。

パドレスは判定にチャレンジした。打球がファウル地域の上空でケーブルに当たっていればボールデッドとなるため、その可能性に望みを託した。しかし、短いリプレー検証を経ても判定は変わらなかった。フランスはアウト。ブルワーズが勝利した。

「ここに戻ってきて、『信じられないほどのホームフィールド・アドバンテージだ』と言ったよ」

ブルワーズのマット・エリクソン三塁コーチ(51)はそう語った。しかも驚くべきことに、試合前のラインアップ交換時、カメラが捉えた会話の中でまさにこの展開を予見していた。

こうしたプレーはめったに起きない。

2008年の地区シリーズ第4戦。6回にフィリーズのジェイソン・ワース(47)が放った飛球は左翼方向へ向かっていたが、屋根の鉄骨部分に当たると内野方向へ真下に落下した。ブルワーズの三塁手クレイグ・カウンセル(56)がダイビングで好捕した。

2018年4月のレッズ戦では、レッズのスクーター・ジェネット(36)が右翼へ放った飛球が屋根を支える鉄骨に当たり、落下した打球をブルワーズの二塁手エリック・ソガード(40)が捕球してアウトとなった。

ファウルボールが屋根に当たった例はほかにもある。ただ、試合中にフェア地域の上空で打球が屋根に当たったと確認されている事例は、この3件だけだ。

一方、トロピカーナフィールドでは状況も障害物もグラウンドルールも異なる。2年前、ハリケーン・ミルトンによって屋根が吹き飛ばされ、全面的な修復が必要になった。その影響でレイズは1シーズン、湾の対岸にあるタンパのジョージM.スタインブレナーフィールドで屋外開催を余儀なくされた。

レイズのドーム球場で試合を見た経験がある人なら、人工芝が予測しにくいバウンドを生むことを知っている。球場に不慣れな外野手が、白い屋根を背景に白球を見失うケースもある。そして、打球が球場の構造を支える4本のキャットウォーク(屋根付近に設置された高所の通路)付近まで上がれば、ルールブックの出番となる。

整理すると、こうなる。

グラウンド上空にある4本のキャットウォークは、高い順にAリング、Bリング、Cリング、Dリングと呼ばれる。フェアの打球が下側2本のキャットウォーク(Cリング、Dリング)に当たれば本塁打。上側2本(Aリング、Bリング)のどちらかに当たったフェアの打球はインプレーとなる。フェアの打球が上側2本のどちらかにそのまま残った場合はエンタイトル二塁打。最後に、ファウルの打球がいずれかのキャットウォークに当たった場合はボールデッドとなる。

意外に思うかもしれないが、こうしたケースはかなりの頻度で起きている。レイズのメディアガイドによると、2026年シーズン開幕時点で、フェアの打球がキャットウォークに当たった例は200本に達していた。

ポストシーズンでは、フェアの打球がキャットウォークに当たったケースが5度あり、すべて本塁打。直近は2021年の地区シリーズ第1戦で、ネルソン・クルーズ(46)の打球がCリングに当たって本塁打となった。

今季の地区シリーズ第2戦では、別の場面でキャットウォークがプレーに影響した。ヤンキースのスペンサー・ジョーンズ(25)が右中間浅めに高く打ち上げた飛球は、約10秒間空中にとどまった後、Bリングに当たり、右翼手ビクター・メサJr.(25)のグラブに収まってアウトとなった。

屋根に関連して、ワールドシリーズのミルウォーキー開催試合では、開閉式屋根を開けるか閉じるかを決めるルールも知っておくと役立つ。

開閉式屋根を備えた球場では、レギュラーシーズンの場合、試合開始時に屋根を開けるか閉じるかは本拠地球団が決定する。一方、MLBのルールでは、「ポストシーズン中は、コミッショナーまたは指定された担当者が、本拠地球団および審判団長と協議し、屋根の開閉に関するすべての決定を行う」と定められている。

レギュラーシーズンでは通常、屋根を開けるか閉じるかを判断する気温の目安は気温約16〜18度。もちろんトロピカーナフィールドでは、傾斜した屋根の下で常に約22度に保たれている。

ミルウォーキーで行われる各試合で屋根を「閉める」と判断された場合、今シリーズは全試合が屋内で開催される史上初のワールドシリーズとなる。

2020年は、レイズが出場したワールドシリーズ全試合を中立地のグローブライフフィールドで開催した。ただし、第1、2、4戦では屋根が開けられていた。

2023年のワールドシリーズでは、レンジャーズとダイヤモンドバックスが対戦。両球団とも屋根付き球場を本拠地としているが、フェニックスのチェイスフィールドでは第3〜5戦で屋根が開けられていた。

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