ワールドシリーズには毎年、数多くの注目ストーリーが生まれる。今季は特に、ブルワーズとレイズの両球団がまだワールドシリーズ制覇を経験していないという事実に注目が集まる。
ブルワーズは1969年、シアトル・パイロッツとしてMLBに参入し、レイズは1998年に球団創設。今回のワールドシリーズでは、どちらかが球団史上初の頂点に立つ。
両チームには、これまでワールドシリーズを経験した選手も多くない。
今回のワールドシリーズは、近年では異例の顔合わせとなった。記録会社エライアス・スポーツ・ビューローの調査協力を得て、その大きな理由を3つ紹介する。
ともにワールドシリーズ未制覇
1921年以降、ワールドシリーズ未制覇の球団同士による対戦は今回がわずか2度目。前回は1980年のフィリーズ対ロイヤルズで、フィリーズがシリーズを制した。
それ以前では、1920年にインディアンス(現ガーディアンズ)がドジャースに勝利して以来、実現していなかった。ほかに両球団が初優勝を目指して対戦したワールドシリーズは、創設初期の第1、2、3、4、6回大会に集中している。1909年はパイレーツがタイガース、1907年はカブスがタイガース、1906年はホワイトソックスがカブス、1905年はジャイアンツがアスレチックス、1903年はアメリカンズ(現レッドソックス)がパイレーツにそれぞれ勝利した。1904年はワールドシリーズ自体が開催されなかった。
今回が加わり、球団初のワールドシリーズ制覇を目指すチーム同士の対戦は通算8度目となる。さらに、両球団とも初優勝まで25年以上待ち続けてきたケースは今回が初めてだ。
ワールドシリーズで実現し得る数多くの対戦カードを考えると、初優勝を目指す2球団が同じ年に勝ち上がって直接対決する機会が、いかに少なかったかが分かる。
初優勝チーム誕生が確定
初優勝を目指す2球団の対戦だけに、どちらが勝っても球団史上初のワールドシリーズ制覇となる。
過去10シーズンでは、2023年のレンジャーズ、2019年のナショナルズ、2017年のアストロズに続き、4球団目の初優勝となる。ワールドシリーズ10大会の間に4球団以上が初優勝を達成した直近の例は、2002年のエンゼルス、2001年のダイヤモンドバックス、1997年のマーリンズ、1992年のブルージェイズまでさかのぼる。
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1920年以降、ワールドシリーズ10大会の間に4球団以上が初優勝した例はもう一つある。ライブボール時代(本塁打が増え、打撃中心の野球へ移行した1920年代以降)の幕開け直後で、1926年のカージナルス、1924年のセネタース(現ツインズ)、1923年のヤンキース、1920年のインディアンス(現ガーディアンズ)がそれぞれ球団初の頂点に立った。
これまでの長い優勝空白期間には、カブスの107シーズンなど、優勝から次の優勝までの期間も含まれる。球団初のワールドシリーズ制覇を目指したチームに限ると、57シーズンは歴代4番目の長さとなる。フィリーズは第1回ワールドシリーズから1980年の初優勝まで77シーズンを要した。オリオールズ/ブラウンズは63シーズン、レンジャーズ/セネタースは62シーズンだった。現在も続く記録では、パドレスが58シーズンとなり、現時点のブルワーズより1シーズン長い。
ワールドシリーズ経験者はわずか
両チームを合わせても、過去にワールドシリーズへ出場した選手は3人しかいない。ヤンディ・ディアス(35)は2020年に5試合、ダスティン・メイ(29)はドジャース時代の2020年に2試合、スティーブン・マッツ(35)はメッツ時代の2015年に1試合出場している。
第1回の1903年を除くと、過去にワールドシリーズ経験を持つ選手が両チーム合計3人という数字は、歴代3番目に少ない記録に並ぶ。2017年もカルロス・ベルトラン(49)、ジャスティン・バーランダー(43)、チェース・アトリー(47)の3人だった。
さらに少なかった例では、第3回の1906年がパッツィー・ドハティ(享年63)の1人、第2回の1905年は0人だった。
ただ、ベルトラン、バーランダー、アトリーの3人は合わせてワールドシリーズ20試合に出場していた。今回の3人が持つ経験は計8試合で、状況は大きく異なる。
1903年を除くと、ワールドシリーズ出場選手が過去に経験した同シリーズの合計試合数は、1905年の0が最少。次いで1906年の8試合で、すべてドハティによるものだった。
つまり今回のワールドシリーズは、第4回大会以降で出場選手の過去のワールドシリーズ経験が合計8試合と最少になる。
どの角度から見ても、今回のワールドシリーズには歴史的な要素が数多くある。だから野球はおもいろい。
