「10月男」再び、キケ・ヘルナンデスは3連覇の起爆剤となるか?

October 8th, 2026

ジム・トーミ、デービッド・オルティス、アーロン・ジャッジ、そしてキケ・ヘルナンデス。この4人には、ある共通点がある。

それは、全員がポストシーズンで通算17本塁打を放っていることだ。

ただ、この4人のうち、1人だけ少し毛色が違う。トーミとオルティスは殿堂入りを果たし、ジャッジもほぼ間違いなく、引退後はクーパーズタウンに名を刻むだろう。

しかし、キケはどうだろうか。様々なポジションをこなす素晴らしい選手だが、はっきり言えば殿堂入りするような選手ではない。しかし、それはレギュラーシーズンでの話。10月になった途端に、別人に生まれ変わる。ポストシーズン通算106試合出場は他の3人の誰よりも多く、ワールドシリーズの優勝リングもオルティスと同じ数を持っている。

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今ポストシーズン、ドジャースはワールドシリーズ史上5度目の3連覇を目指している。その中で、「10月男」の存在は、大きな起爆剤になりうる。

「プレーオフになると、そして最も大事な場面になると、彼はああいう怪物に変わるんだ。そういう状況を望んでいる。そういう瞬間を求めている。自分が主役になりたいんだ」とミゲル・ロハスは語った。

このベテラン野手は大舞台で力を発揮する術を心得ている。レギュラーシーズンの通算OPSが.706なのに対し、ポストシーズンでは.826。今回が自身11度目のポストシーズンで、こうした場面での経験は一般的なメジャーリーガーより多い。だが、驚くべきは、レギュラーシーズン162試合の間にどんなことがあっても、プレーオフでは必ずスイッチを入れられることだ。

ポストシーズンになると自分の何が変わるのか、キケ自身もうまく言葉にできない。それを自身のADHD(注意欠如・多動症)と結び付け、プレーオフの野球には締め切りに追われるときと似た感覚があり、それが大事な試合での集中力を高めてくれると説明している。

「学校で2カ月の期間がある課題を出されて、最後の日まで手を付けずにいるようなものだ。僕の脳は、最終日まで何もせず、その日に全部を仕上げようとする。感覚としては、それに近いんだ。目の前のプレーに意識を向けて、9イニングでも18イニングでも、ものすごく集中した状態を保てる。だから、自分でもよく分からないんだ」と本人は昨年語っていた。

まだ出場機会は少ないものの、今年も同じ傾向が見られる。オフに受けた左肘の手術からの回復途中にあり、負傷者リストに入った状態でシーズンの開幕を迎えた。その後も、わずか2試合に出場したところで左脇腹の肉離れにより再び離脱。相次ぐ負傷の影響で、メジャー13シーズンで最少となる41試合の出場にとどまり、打率.222、OPS.671だった。

これまで10月になると、デーブ・ロバーツ監督はヘルナンデスがどんなレギュラーシーズンを送っていても、先発で起用してきた。だが、今年のブレーブスとのナ・リーグ地区シリーズ(NLDS)では、最初の2試合で、一度も打席に立たなかった。

それが変わったのは第3戦だった。ロバーツ監督は左腕クリス・セールへの対策として打線を組み替えた。キケは三塁で先発すると、第2打席でセールから2ランを放ち、起用に応えた。

この一発で、キケはポストシーズン通算本塁打ランキングでトーミ、オルティス、ジャッジに並んだ。チームメートのフレディ・フリーマンを含む7選手が並ぶ歴代11位タイまで、あと1本だ。

「キケの魔法が少し必要だったんだ。彼はいつでも準備ができている。そして、こういう試合が大好きだ。ぐっと集中する方法を知っている」と指揮官は語った。

今のドジャース打線は、ここ数年でも屈指の選手層を誇る。そのため、ヘルナンデスが毎試合起用されるのは、以前より難しくなっている。

トミー・エドマンがNLDSで無安打だったことから、二塁での出場機会が増える可能性がある。三塁でマックス・マンシーと相手投手の左右に応じた併用となる可能性もあるが、マンシーは直近4試合で3本塁打を放っている。キケは今ポストシーズン、左翼でも出場しているが、テオスカー・ヘルナンデスに代わって打席に立つより、試合終盤の守備固めで起用される可能性の方が高い。

それでも、出場機会がどうなるにせよ、キケは今ポストシーズンのドジャースで重要な役割を担う。過去6年で3度のワールドシリーズ制覇を果たしたメンバーの中核をなす1人であり、3連覇を目指すチームはその経験豊富な選手たちを頼りにしている。

「とても誇りに思っているけど、普段はそこまで意識していない。現役を終えたら振り返って、心から誇りに思うはずだ。毎年のように10月の舞台に立つ、そんなキャリアを歩んでこられたからね」とキケは語った。