ついにこの日がやってきた。MLBはスプリングトレーニングの試合初日を迎え、カクタスリーグとグレープフルーツリーグの両リーグ合わせて7試合が行われる。翌21日(日本時間22日)にはフルスケジュールとなる中で、今回は特に注目の3つのポイントを紹介する。
ABSが本格導入
ここ数年、マイナーリーグや昨年のMLBスプリングトレーニングの一部で試験運用されてきた自動ボール・ストライク(ABS)チャレンジシステムは、2026年にMLB球団同士がMLBのスタジアムで行う全試合で使用される。
もちろんスプリングトレーニングもこれに含まれ、すべての球場にT-Mobile提供の技術が導入された。多くの選手がこの新たなチャレンジ制度を初体験することになる。打席でのタイミングを整え、ブルペンで投球を磨くのと同様に、選手たちは開幕前にABSチャレンジシステムに慣れていく。
ただし、これは単なるテクノロジーの話ではない。新技術の導入は新たな戦略も生む。各チームは試合開始時に2度のチャレンジ権を持ち、延長戦に入った場合、権利を使い切っているチームには追加で1度付与される。さらに、次のイニング開始時点で権利を使い切っていれば、新たに1回分が与えられる。
チャレンジを申請できるのは、その判定に関わった打者、投手、捕手のみだが、その戦略は球団によって異なる。例えばブレーブスの左腕クリス・セールは自身はその権利を使わず、捕手に任せると語った。
「自分は投手だから、これまで一度もボールかストライクかを判定したことはない。それに自分は欲張りだ。自分の投げた球は全部ストライクだと思っている。特に今の捕手は、捕り方やフレーミングがうまくて、全部ストライクに見せるからね」
この新制度を歓迎している選手の一人が、身長6フィート7インチ(約2.01メートル)のアーロン・ジャッジだ。その大柄な体格ゆえに本塁審判にとっても判断の難しい選手の一人だった。今春すでにABSチャレンジシステムを活用しており、さらなる成績向上を狙う。
なお、ABSチャレンジシステムの仕組みと、今季どのように運用されるかについての基礎情報はこちらで確認できる。
新たな顔ぶれ
毎年この時期になると、FA移籍やトレードによって新たなユニフォームを着るスター選手の姿が見られる。今年も新天地でデビューを迎えるスターが数多くいる。
今FA市場で最高の野手、そして最高の救援投手と評価された2人が、初めて試合でドジャーブルーに袖を通す。右翼手カイル・タッカーと、リリーバーのエドウィン・ディアスは、ドジャースの3連覇挑戦を支えるため、まずはカクタスリーグでの調整から始める。ドジャースの初戦は21日(日本時間22日)で、エンゼルスと対戦する。
21日にマーリンズとの初戦を迎えるメッツも大きく様変わりしている。ディアス、ピート・アロンソ、ブランドン・ニモ、ジェフ・マクニールらが去った一方で、オフ最大の補強となったボー・ビシェットを筆頭に、スター右腕フレディ・ペラルタ、内野手マーカス・セミエンとホルヘ・ポランコ、外野手ルイス・ロバートJr.、そして救援のデビン・ウィリアムズとルーク・ウィーバーが加わった。
そのアロンソは、5年総額1億5500万ドル(240億円)でオリオールズと契約。外野手テイラー・ウォードと剛腕クローザーのライアン・ヘルズリーとともに新天地でのデビューを飾る。オリオールズは20日にヤンキースと対戦する。
オールスター三塁手アレックス・ブレグマンは5年1億7500万ドル(262億5000万円)の契約でカブスに加入。カブスは20日に同じくシカゴを拠点とするホワイトソックスと対戦する。ホワイトソックスは村上宗隆を獲得しており、メジャー初打席に立つ姿が見られる。
ア・リーグ王者ブルージェイズは、昨年の勢いのまま補強を行い、右腕ディラン・シースと岡本和真を獲得。それぞれがグレープフルーツリーグでデビューを飾る見込みだ。
タイガースは先発ローテーションに2人の実力派を加えた。左腕フランバー・バルデスを迎え入れ、さらにベテランのジャスティン・バーランダーがMLBデビューを飾ったデトロイトに帰還した。
他にも”原点”に戻る選手といえば、カルロス・コレアもその一人だ。アストロズがツインズとのトレードで獲得した。また、タイガースでメジャーデビューを果たした三塁手エウヘニオ・スアレスも、スターへと飛躍した地であるシンシナティ・レッズへ戻った。
そのほかに新天地でプレーする顔ぶれとして、カージナルスからマリナーズへトレードされた二塁手ブレンダン・ドノバン、レッドソックスの左腕レンジャー・スアレスと一塁手ウィルソン・コントレラス、レンジャーズの外野手ブランドン・ニモ、ジャイアンツの3度の首位打者ルイス・アラエス、そしてツインズと契約した一塁手ジョシュ・ベルがいる。
未来を覗き見?
毎年、カクタスリーグやグレープフルーツリーグで好成績を残し、開幕ロースター入りを争う若手選手が現れる。今年は特にトップ有望株が数多くメジャーキャンプに参加しており、MLBパイプラインによるトップ100有望株のうち、72人が所属メジャー球団のスプリングトレーニングに参加する。その中にはトップ25のうち23人、そしてトップ12は全員含まれている。
全体1位の有望株であるパイレーツの遊撃手/外野手コナー・グリフィンは、18日に今春初のライブBPで本塁打を放つなど、そのパワーで早くも話題を集めている。2024年ドラフト全体9位指名のグリフィンは、そのままメジャーロースターに名を連ね、開幕を迎える可能性を十分に秘めている。
マリナーズの球団内1位(全体9位)の有望株コルト・エマーソンも、開幕ロースター入りを争う。20歳のエマーソンはプロ入り後、主に遊撃を守ってきたが、二塁や三塁でもプレー経験がある。J.P.クロフォードが遊撃に定着している中、エマーソンはこの春にアピールできれば、万能型のドノバンと組み合わせることで内野の選択肢が広がる。
ジャイアンツは21日、マリナーズ相手にカクタスリーグ初戦を迎える。球団内トップ(全体25位)有望株の一塁手ブライス・エルドリッジは、昨年9月にメジャーデビューを果たしており、開幕ロースター入りを目指す。
フィリーズのキャンプでは、球団内1位(全体28位)の右腕アンドリュー・ペインターがトミー・ジョン手術から回復し、ついに先発ローテーション入りを争っている。フィリーズは21日、ブルージェイズとグレープフルーツリーグ初戦を戦う。
