外野手の守備力は史上最高レベル:その理由とは

2026年、飛距離220フィート(約67メートル)以上の打球の打率は.292となり、スタットキャスト導入以降で最低を記録

November 1st, 2026

そこで、2024年夏に外野手の守備力向上を分析した記事を改めて振り返り、データを更新したい。当時は、外野手の守備力が年々向上している傾向を取り上げた。

それからさらに2シーズンと4分の1が経過したが、この傾向は止まっていない。むしろ、加速している。

この変化を示す方法は2つある。1つは単純な方法、もう1つは複雑だが、より意味のある方法だ。まずは単純な方から見てみよう。

スタットキャストによる計測開始から12年。本塁打を除く打球を対象にすると、2026年には……。

ここで取り上げている数字は、三振とは関係がない。打者が打球をしっかり捉えた後の話だからだ。ゴロも主な要因ではない。ハードヒットにはゴロも含まれるが、バレル打球や飛距離220フィート(約67メートル)以上の打球がゴロになるケースはほとんどない。

外野の芝生に飛んだ打球を安打にすることが、かつてないほど難しくなっている。その事実こそ重要だ。攻撃と守備が絶えず繰り広げる駆け引きの中で、見過ごされがちな変化といえる。投手だけでも、打者だけでもない。野手、特に外野手も大きな役割を担っている。

これだけでも十分かもしれない。単純な数字ながら、説得力がある。それでも、さらに踏み込んだ分析は可能だ。次はより複雑な方法で、同じ傾向を読み解いてみよう。

多くの守備指標は、スタットキャストのOAAのように、アウトを取れたかどうかだけでなく、そのプレーの難易度も評価する。主な判断材料は、野手が打球に追いつくまでに必要な移動距離と、そこへ到達するまでに与えられた時間だ。ただし、この2つだけで決まるわけではない。例えば、あるプレーの捕球確率が40%なら、そのシーズンに同じような守備機会が10回あった場合、外野手は4回しかアウトにできないことを意味する。

ここで鍵となる表現が「そのシーズン」だ。多くの高度な指標は、当該年のリーグ平均を基準として計算される。OPS+(球場の影響などを補正した打撃指標。100がリーグ平均)やERA+(球場の影響などを補正した防御率評価指標。100がリーグ平均)も同じ考え方に基づく。一方、フレーミング・ラン(捕球技術による得点への貢献を示す指標)やOAAでは、各シーズンのMLB平均を0とする。プラスなら平均以上、マイナスなら平均以下という意味だ。

クロウ=アームストロングがまたも驚異的な捕球を決めた際、そのプレーの難易度と守備力は、同じシーズンにプレーする選手を基準に評価される。できる限り比較条件をそろえるためだ。

では、もしこの仕組みを変えたら、どんな結果になるだろうか。

MLBのシニア・データ・アーキテクト、トム・タンゴ氏の協力を得て、外野手のOAAを、スタットキャストによる計測開始以降のすべてのプレーと比較できる共通の尺度に換算した。OAAは、主要守備指標のFRV(守備による失点防止への貢献を得点換算した指標)のうち、捕球による貢献に相当する部分で、送球による貢献は含まない。

これにより、クロウ=アームストロングを2026年のラファエラやアンディ・パヘス外野手(25)と比べるだけでなく、過去にチャーリー・ブラックモン外野手(40)、マット・ケンプ外野手(42)、カルロス・ベルトラン外野手(49)が経験した守備機会とも比較できる。

同じ年の選手同士だけでなく、時代をまたいだ比較が可能になった。その結果は驚くべきものだった。

2026年の守備機会だけを基準にした場合、外野手の平均OAAは必ず0となる。毎年、その年の平均値を0として算出するためだ。その中で、ラファエラのようにプラス17と平均を上回る選手もいれば、カイル・タッカー外野手(29)のようにマイナス8と下回る選手もいる。

しかし、スタットキャストの計測期間全体を基準にすると、2026年のMLB全外野手のOAA合計はプラス284となった。直近3シーズンだけで合計約プラス550に達する一方、それ以前のフルシーズンの合計は約マイナス500だった。

Unlike the usual version of OAA, which compares only to that season, comparing across all years shows how much better outfielders have become.

こう考えると分かりやすい。今季、ジョーダン・ヒックス投手(30)の速球は平均99.2マイル(約160キロ)。十分に驚異的な球速だが、今季の上位10人にも入らないため、伝説として語り継がれるほどではない。しかし、一世代前なら、この球速は衝撃的で、気の利いた異名を持つオールスター級の抑え投手になっていたかもしれない。野球が変われば、数字を評価する基準も変わる。

例えば、レイズの外野陣だ。ポストシーズンを含むOAA合計はプラス40で、単一シーズンの外野陣として計測史上最高となった。これは2026年の他球団の外野陣と比較した数字だ。過去10年間の外野陣と比べれば、評価はさらに高まり、OAAはプラス48に相当する。選手たちのプレーが変わったわけではない。比較する「平均」の水準が変わるためだ。

単純な方法でも、より高度な方法でも、導かれる結論は同じだ。外野手が打球をアウトにする能力は、かつてないほど向上している。

では、何がその進歩を可能にしたのか。なぜ、外野手はより多くの打球に、より効率よく追いつけるようになったのか。明確な仮説が3つある。

1)スピードと若さ

これが最大の要因だ。しかも、以前から続いている。スプリントスピード(全力疾走時の最高速度を示す指標)は秒速フィートで表され、長年、秒速27フィート(秒速約8.2メートル=時速約29.6キロ)が平均、秒速30フィート(秒速約9.1メートル=時速約32.9キロ)が一流の目安とされてきた。

2015年、秒速29フィート(秒速約8.8メートル=時速約31.8キロ)を超えた選手は37人だった。2021年には46人に増え、2026年は実に63人に達した。今季、秒速29フィート(秒速約8.8メートル=時速約31.8キロ)で56位タイだったフェルナンド・タティスJr.外野手(27)も、10年前なら31位タイに相当する。

つまり、平均そのものも大きく変化している。各年の計測条件を満たした選手のうち、シーズンのスプリントスピードが秒速27フィート(秒速約8.2メートル=時速約29.6キロ)を上回った割合に注目したい。10年前は50%をわずかに超える程度で、だからこそ秒速27フィート(秒速約8.2メートル=時速約29.6キロ)が「平均」の目安となった。しかし2026年は70%を超えた。

At the beginning of Statcast, only about half of players were above 27 ft/sec. Now, we're getting to near two-thirds.

2024年の記事で示した数値を更新し、左翼・中堅・右翼それぞれのスプリントスピードの加重平均を2016年と2026年で比較すると、変化は一目瞭然だ。

外野手のスプリントスピードの加重平均(2016年→2026年)

  • 左翼手:秒速27.5フィート(秒速約8.4メートル=時速約30.2キロ)→秒速28.0フィート(秒速約8.5メートル=時速約30.7キロ)。秒速0.5フィート上昇
  • 中堅手:秒速28.3フィート(秒速約8.6メートル=時速約31.1キロ)→秒速28.7フィート(秒速約8.7メートル=時速約31.5キロ)。秒速0.4フィート上昇
  • 右翼手:秒速27.4フィート(秒速約8.4メートル=時速約30.1キロ)→秒速28.0フィート(秒速約8.5メートル=時速約30.7キロ)。秒速0.6フィート上昇

足の速い選手を増やすには、どうすればいいのか。走力に優れた選手を獲得する方法もあるが、単純に若い選手をそろえるだけでも効果があるかもしれない。今季のナショナルズを思い出してほしい。28歳を超える野手には1打席も与えなかった。さらに、マーリンズ、カージナルスとともに、28歳以下の若手選手に与えた打席数で歴代上位3球団を占めた。その3例がすべて2026年に生まれた。

この傾向は外野で特に顕著だ。2026年、外野手の全打席に占める29歳以下の割合は76%。10年前の65%から上昇し、投球データの追跡が始まった2008年以降で最高となった。中堅手に限れば、10年前の70%から82%に上昇。32歳以上で250打席以上に立った中堅手は、長年このポジションでプレーしてきたマイク・トラウト外野手(35)とバイロン・バクストン外野手(32)の2人だけだった。これに対し、2004~09年は同じ条件に該当する中堅手が毎年少なくとも4人おり、2004年には9人に達した。

捕球は、ある意味で数学の問題だ。野手はXフィート先までY秒で到達できるか。若く、足の速い選手なら、必要な距離と時間の差を縮められる。そして、次に挙げる要因も関係している。

2)指導の重視

選手の走る速度そのものを指導で高めることは、ほぼ不可能に近い。一方、打球に対する最初の動き出し(ジャンプ)は、指導によって改善できると考えられるようになってきた。実際、捕球できる打球の割合には、走る経路の正確さ以上に、初動の速さが大きく影響する。

2026年のレイズについては、すでに詳しく取り上げた。チャンドラー・シンプソン外野手(25)とセドリック・マリンズ外野手(32)は、打球への反応を大幅に改善した。また、昇格したビクター・メサJr.外野手(25)も、出場機会は限られていたものの、突出した守備データを残した。カブスの鈴木誠也外野手(32)も同様の改善に取り組んだとみられる。さらに、ブルージェイズがケビン・ゴーズマン投手(35)をカブスへトレードした際、有望株のブレット・ベイトマン外野手(24)を高く評価した理由の一つも、優れた初動だった。

2025年当時、マーリンズで外野守備を指導していたブレイク・ラリー氏(43)は、選手たちへの指導方針を明かしていた。

「データから、打球への反応が優れた外野手ほど、走る経路が多少ずれていても、多くのプレーをアウトにつなげる傾向が分かっています。だからこそ、いかに早く、素早く動き出すかを徹底して重視しています」

まさにその通りだ。ファングラフスが約4年前に示した分析でも、外野手の守備評価とリアクション(最初の1.5秒間に移動した距離)には強い相関があった。続く1.5秒間の動きであるバーストでは、さらに強い相関が確認された。一方、打球までの移動経路の取り方は、守備評価とほとんど関連していなかった。

打球への素早い初動を生み出す各要素について、2016年と2026年の数値を比較すると、その違いは一目瞭然だ。

Look at how many more players had poor reaction times a decade ago as compared to in 2026.

打球への初動を改善する重要性は、ケビン・キアマイアー元外野手(36)が長年にわたり訴えてきたことだ。本人も歴代屈指の外野守備の名手として知られる。こうした指導をまだ取り入れていない球団も、近いうちに導入するだろう。

3)守備位置の工夫

守備位置も重要だ。そうならざるを得ない。外野手が以前より深く守る傾向については、すでに10年前から取り上げてきた。その傾向は今も続いている。2026年、中堅手の平均守備位置は本塁から324フィート(約99メートル)で、計測史上最も深かった。2015年より12フィート(約3.7メートル)も後ろだ。守備位置を示すカードを手にする選手の姿もおなじみになった。さらに、ピッチコムは投手と捕手だけでなく、他の野手も受信機を装着して配球情報を得られる。

若くて足が速く、打球への初動や反応も改善した選手を、さらに捕球に適した守備位置に配置すればどうなるか。より多くの打球がグラブに収まることになる。

その効果は、主に野手が移動する距離と打球に追いつくまでの時間などから算出される、推定アウト率にも表れる。いくつかに分けて見ていこう。

外野手の推定アウト率

  • 2016年:86.5%
  • 2017年:86.7%
  • 2018年:86.9%
  • 2019年:86.9%

ここから読み取れることは、特に何もない。まったく変化がなかった。ところが、その後は……。

  • 2020年:87.7%
  • 2021年:87.7%
  • 2022年:88.0%
  • 2023年:87.9%
  • 2024年:88.3%
  • 2025年:88.2%
  • 2026年:88.6%

その差は決して大きくない。そもそも、改善できる余地には限界があるからだ。それでも、年を追うごとに捕球の難易度が少しずつ下がっていると分かる。外野手の守備位置が最適化されてきたためだ。

2021年以降も上昇傾向が続いている点は、この変化の信頼性を裏付けている。スタットキャストを支える追跡技術は2020年を前に変更されており、単に機器の変更によって生じた数字上の変化であってはならないからだ。

実際、そうではない。これまでにないほど優れた身体能力を持つ外野手たちが、さらに足を速くするためのトレーニングを積み、最適な守備位置に配置されるようになっている。

この変化は、三振や投手とはまったく関係がない。たとえ外野まで打球を飛ばしても、以前ほどの成果を得られなくなっているのだ。

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