最近、フロントオフィスの若手との会話で、気になることがあった。彼らの中に、自分たちのチームが「ポイントをスコアボードに刻む(points on the board)」と表現する人がいるのだ。
もちろん誤りではない。野球が「ポイント」ではなく「得点(ラン)」で競うスポーツであることは、彼らも十分理解している。それでもあえて「ポイント」と言うのは、その方がどこか響きがいいからだろう。
個人的には、得点を「ポイント」と呼ぶのは違和感がある。とはいえ、それを禁じる理由もない。ただし「ゴール」と呼ぶのだけは勘弁してほしい。さすがに行き過ぎだ。
というわけで今回は、今季「ポイント」――ではなく、得点を最も積み重ねそうな打線トップ10を紹介する。
※なお、ここで挙げる打線は開幕戦の予想オーダーではなく、2026年シーズンを通じた主力布陣の予想である。
1)ドジャース
- 大谷翔平(DH)
- カイル・タッカー(右翼)
- ムーキー・ベッツ(遊撃)
- フレディ・フリーマン(一塁)
- ウィル・スミス(捕手)
- マックス・マンシー(三塁)
- テオスカー・ヘルナンデス(左翼)
- アンディ・パヘス(中堅)
- キム・ヘソン(二塁)
面白いのは(少なくとも筆者にとっては)2025年、あの強力なドジャース打線が停滞していたり、集中力を欠いていたり、緊張感を失っているように見える場面が多々あったことだ。ベッツは少なくとも打撃面では突如として衰えたように見え、テオスカーは大きく成績を落とし、マンシーとスミスは負傷に悩まされた。さらに二塁と左翼は安定感を欠いた。
その”停滞”の結果、チーム全体の打撃指標を示すwRC+は、2024年のリーグ平均比+17%(MLB2位)から、4ポイント低下。なんと…+13%(MLB2位のまま)だった。
そして今季はそこにタッカーが加わった。なので、まぁ。そういうことだ。
2)ヤンキース
- トレント・グリシャム(中堅)
- アーロン・ジャッジ(右翼)
- コディ・ベリンジャー(左翼)
- ベン・ライス(一塁)
- ジャンカルロ・スタントン(DH)
- ジャズ・チザムJr.(二塁)
- ライアン・マクマーン(三塁)
- アンソニー・ボルピ(遊撃)
- オースティン・ウェルズ(捕手)
ジャッジが出塁率や長打率でメジャーをリードし続け、50本塁打以上を打つことが当たり前ではなくなる日はいずれ訪れるだろう。それが34歳となる今年かもしれないし、これまでのキャリアを悩ませてきた負傷に再び苦しめられるかもしれない。
だが、少なくともそれまではヤンキースは1位か2位に位置する存在で、そのどちらかは好みによるだろう。筆者はドジャースを上に置くが、それは安定感がより高いと考えるからだ。それでもベリンジャーとグリシャムが戻り、ライスがスター候補としての実力を見せている現状では、ヤンキース打線も間違いなくトップ2に入る。
3)マリナーズ
- ブレンダン・ドノバン(三塁)
- カル・ローリー(捕手)
- フリオ・ロドリゲス(中堅)
- ジョシュ・ネイラー(一塁)
- ランディ・アロザレーナ(左翼)
- ビクター・ロブレス(右翼)
- ドミニク・キャンゾーン(DH)
- J.P.クロフォード(遊撃)
- コール・ヤング(二塁)
ドジャースとヤンキースからは一段落ちる位置であり、様々な候補がいる。はっきり言えば、打者に不利な本拠地でプレーする以上、マリナーズが得点数でトップ3に入る可能性は低いだろう。しかし、球場の影響を考慮した成績であれば、マリナーズは昨季MLBでもトップ3クラスの攻撃力を持っていた。ローリーが再び60本塁打を打つ可能性は低いとしても、2026年も同等の打力を維持できる理由は十分にある。
まず、ロドリゲスがついにその才能を全面的に開花させ、MVP級のシーズンを送る期待が高まっている。また、なぜかT-モバイルパークと相性のよい、2025年トレード期限で獲得したネイラーがフルシーズンで貢献できる点も大きい。さらにオフに加入したドノバンが打線の起点となり、過小評価されがちなクロフォードの打撃力、ロブレスの復調、そしてトッププロスペクトのコルト・エマーソンの将来性もある。
4)ブルージェイズ
- ジョージ・スプリンガー(DH)
- ドールトン・バーショ(中堅)
- ブラディミール・ゲレーロJr.(一塁)
- アディソン・バーガー(右翼)
- アレハンドロ・カーク(捕手)
- ヘスス・サンチェス(左翼)
- 岡本和真(三塁)
- アンドレス・ヒメネス(遊撃)
- アーニー・クレメント(二塁)
昨年、ブルージェイズは「コンタクトとパワーの両方を発揮しつつ、走塁も優れていたらどうなるか?」という”理想系”を体現した。その結果、ワールドシリーズ制覇まであとわずかのところまで迫った。
ボー・ビシェットが退団し、フリーエージェントでタッカーを逃したのは痛手だ。また、パワーヒッターの岡本がMLBにどう適応するか、36歳のスプリンガーが昨年と同じパフォーマンスを続けるのか、クレメントが10月のような打撃を維持できるか、バーショが162試合フルで戦えるかなど、不確定要素も多い。
しかし、ゲレーロJr.が全盛期に差し掛かっているのは確か。主砲に引っ張られ、打線全体がフルポテンシャルを発揮した時の破壊力は証明済みだ。
5)アスレチックス
- ニック・カーツ(一塁)
- シェイ・ランゲリアーズ(捕手)
- タイラー・ソダーストロム(左翼)
- ブレント・ルーカー(DH)
- ジェフ・マクニール(二塁)
- ジェイコブ・ウィルソン(遊撃)
- ローレンス・バトラー(右翼)
- マックス・マンシー(三塁)
- デンゼル・クラーク(中堅)
アスレチックスはマリナーズとは逆で、打者有利な本拠地を考慮すると評価をやや下げる必要がある。
しかし、この若い打線は、球場に頼らずとも多くの得点を挙げる力を持っている。実際、昨季はロードでwRC+103を記録し、MLB7位タイだった。新人王のカーツを筆頭にルーカー、ランゲリアーズ、ソダーストロムら、30本塁打・30二塁打を達成可能な才能が揃う。また、ア・リーグ新人王投票2位のウィルソン、ブレイク候補のバトラー、そしてマクニールら楽しみなタレントが揃う。
アスレチックス投手陣はトップ10には程遠いだろうが、打線は非常に魅力的だ。
6)メッツ
- フランシスコ・リンドーア(遊撃)
- フアン・ソト(左翼)
- ボー・ビシェット(三塁)
- ホルヘ・ポランコ(一塁)
- マーカス・セミエン(二塁)
- ブレット・ベイティ(DH)
- フランシスコ・アルバレス(捕手)
- ルイス・ロベルトJr.(中堅)
- カーソン・ベンジ(右翼)
メッツほど、結果の振れ幅が大きいチームはないかもしれない。タレントは揃っているが、負傷リスクも多く抱えている。
チームは期待外れのシーズンを過ごしたとはいえ、ソトは43本塁打、38盗塁、127四球という圧倒的な成績を残した。そこに、有鈎骨(ゆうこうこつ)の手術から早期復帰したリンドーア、リーグ屈指の打撃技術を持つビシェットらが揃っており、ピート・アロンソが退団したとはいえ、強力な上位打線となる。加えてベテランのポランコも、キャリア最高のシーズンを終えたばかりだ。
最終的な出来はアルバレスの健康状態、そしてパワーとスピードを兼ね備えたトッププロスペクトの野手、ベンジがどれだけ貢献するかに左右されるだろう。メッツはリーグ屈指のダイナミックな打線にもなり得るし、負傷に苦しむ失望のチームにもなり得る。いずれにせよ、見応えのあるチームなのは間違いない。
7)オリオールズ
- ガナー・ヘンダーソン(遊撃)
- ジョーダン・ウェストバーグ(三塁)
- テイラー・ウォード(左翼)
- ピート・アロンソ(一塁)
- アドリー・ラッチマン(捕手)
- サミュエル・バサヨ(DH)
- ジャクソン・ホリデイ(二塁)
- タイラー・オニール(右翼)
- コルトン・カウザー(中堅)
ホリデイの右有鈎骨骨折やウェストバーグの右肘の問題など、不安の残る春を過ごしている。また、昨年はこの野手陣の多くが期待を下回ったことを考えると、これより上位にすることは難しい。
しかし、アロンソとウォードという耐久性のある右打者を加えたことで、打線のパワーは大きく向上した。ヘンダーソンは世界屈指の遊撃手であり、若いバサヨも大きなインパクトを残す可能性がある。ラッチマンも長い不振から抜け出すだけの才能を持っている。
少し視点を変えれば、トップ5に食い込んでも不思議ではない。
8)フィリーズ
- トレア・ターナー(遊撃)
- カイル・シュワーバー(DH)
- ブライス・ハーパー(一塁)
- アレク・ボーム(三塁)
- ブランドン・マーシュ(左翼)
- アドリス・ガルシア(右翼)
- ブライソン・ストット(二塁)
- J.T.リアルミュート(捕手)
- ジャスティン・クロフォード(中堅)
昨季、フィリーズは地区優勝したものの、打線は期待ほどのパフォーマンスではなかった。再び圧倒的な成績を残すのか、それとも”良いチーム”のままなのかは、今後になってみなければ分からないし、それを証明するのは選手たちしかいない。
おっと、失礼。どうやら、フィリーズ編成部門トップのデーブ・ドンブロウスキーがハーパーについて語ったオフのコメントと同じような内容になってしまったようだ。
ハーパーに限らず、打線全体がその実力を改めて証明しようと意気込んでいるだろう。ターナー、ハーパー、シュワーバーの上位打線はいまだにリーグ屈指だが、高齢化が進んだ打線でもある。また、下位打線も不確定要素が多い。プロスペクト53位のクロフォードがどれだけ貢献できるかは未知数であり、ガルシアもここ2年は低調でノンテンダーとなった経緯がある。
9)カブス
- マイケル・ブッシュ(一塁)
- アレックス・ブレグマン(三塁)
- イアン・ハップ(左翼)
- 鈴木誠也(右翼)
- ピート・クロウ=アームストロング(中堅)
- ニコ・ホーナー(二塁)
- ダンズビー・スワンソン(遊撃)
- モイセス・バレステロス(DH)
- カーソン・ケリー(捕手)
カブスは昨季、得点793でMLB5位、wRC+110で6位に入ったが、その多くはカイル・タッカーが健康で好調だった前半戦(512得点)に偏っており、後半戦(281得点)は苦戦した。ブレグマンを加えたとはいえ、得点力を維持できるかはわからない。
それでも、過小評価されがちなブッシュ、鈴木、ハップに加え、ダイナミックなクロウ=アームストロング、そして安定感と耐久性のあるスワンソンの存在により、チームの最低ラインは十分に高く、トップ10に値するのは間違いない。特に有望株のバレステロスが期待通りの活躍を見せればなおさらだ。
10)ダイヤモンドバックス
- ヘラルド・ペルドモ(遊撃)
- ケテル・マルテ(二塁)
- コービン・キャロル(右翼)
- ガブリエル・モレノ(捕手)
- パビン・スミス(DH)
- ノーラン・アレナド(三塁)
- カルロス・サンタナ(一塁)
- ジョーダン・ローラー(中堅)
- アレック・トーマス(左翼)
ダイヤモンドバックスは2024年、2025年ともにプレーオフ進出を逃したが、実は2シーズン合計でMLB最多となる1677得点を記録している。
懸念は有鈎骨の負傷から復帰直後のキャロルの状態で、調子が上がるまで時間がかかる可能性がある。しかし、回復が順調であれば、ペルドモ(2025年OPS.851)、キャロル(.884)、マルテ(.893)の上位3人は、リーグでも屈指のダイナミックな打線となる。
そこから先は不確定要素が多く、アレナドがどれだけ力を残しているか、スミスやモレノがフルシーズンで結果を残せるか、ローラーがポテンシャルを発揮できるかなどに左右される。それでも、この上位3人の存在によりダイヤモンドバックスはトップ10に滑り込んだ。
次点:ヨーダン・アルバレスが健康を維持すればアストロズはトップ10入りの可能性がある。ブレーブスは昨季負傷者が続出しながらも得点数でMLB上位に入っており、健康であれば上昇が見込めるが、ジュリクソン・プロファーの出場停止が懸念だ。ロイヤルズは外野フェンスを前進させ、ジャック・カグリオーンやカーター・ジェンセンのブレイク次第で厄介な存在となり得る。レッドソックスはブレグマンを失ったがウィルソン・コントレラスを加え、2年目のシーズンを迎えるロマン・アンソニーにも期待がかかる。タイガースはスター不在ながらも、昨季終盤の失速前までは十分な攻撃力を見せており、将来性も備えている。
