11日(日本時間12日)にレートフィールドで行われたレッズとのシリーズ初戦で、ホワイトソックスが実施した「教皇帽」の配布企画は、8月上旬にア・リーグ中地区首位に立つチームが、いかに目の前の戦いに集中しているかを象徴する出来事だったのかもしれない。
イリノイ州ドルトン出身で、筋金入りのホワイトソックスファンでもあるローマ教皇レオ14世に敬意を表し、その誕生を祝うため、今季最多となる観客に4万個を超える教皇帽が配布される予定だった。しかし、選手たちはその企画を十分に把握していなかった。
「それを配るの?」11日にDHとして出場したコルソン・モンゴメリーは、9日の試合後に企画について聞かれると、そう問い返した。
「そうなんだよ。僕も30分前まで知らなかった」と、ホワイトソックスの先発投手ショーン・バークは話した。
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ただし、選手たちが詳しく知らなかったからといって、この特別な夜を楽しみにしていなかったわけではない。そしてファンにとって、2026年のホワイトソックスは、ここしばらく味わえていなかったような楽しいシーズンとなっている。
それは単に、2026年まで3年連続で100敗以上を喫していた反動というわけではない。
「僕たちには教皇もいれば、魔法使いもいる。幸運がたくさん味方についているよ」とモンゴメリーは、マイク・バジルと彼のダグアウトに置かれた魔法の杖に触れながらそう話した。「こういう企画でファンに喜んでもらえるなら、何だって楽しいよ」
「”ポープ・ナイト”をとても楽しみにしているし、多くの人が期待しているのは明らかだ。教皇と、教皇がホワイトソックスファンであることを祝える機会があれば、私たちは積極的に盛り上げていきたい」と、ウィル・ベナブル監督も語った。
この企画は当初、特別チケットを購入したファンに教皇帽を2500個配布するものだった。しかし、チケットが瞬く間に完売すると、マーケティング&プロモーション部門のシニアディレクターを務めるマイク・ダウニーは、ホワイトソックスのエグゼクティブ・バイスプレジデントであるブルックス・ボイヤーに、業者がさらに500個を用意できると伝えた。
その追加分もなくなると、ダウニーは教皇帽の配布数を一気に4万個まで引き上げた。
「唯一の心配は、本当に今日までに4万個をここへ用意できるのか、ということだった。可能だと分かってからは、この企画を進めるのが楽しかったよ。先ほども話していたが、これまでに『4万個用意しなければ』と思うほど反響を呼んだ企画があっただろうか、とね」とボイヤーはこの日、ホワイトソックスのダグアウトで語った。
「4万個まで増やさなければならなかった企画は、誰も思い出せなかった。私自身、こうしてダグアウトに座り、プロモーション用のグッズについて取材を受けたことは間違いなく一度もない。それだけ、この企画が広く知れ渡ったということだろう」
この日は、教皇帽を配布するだけの一日ではなかった。
シカゴ・ホワイトソックス・チャリティーズ(英語HP)は、ロバート・プレボスト神父(現教皇レオ14世)がシカゴ時代に所属していたアウグスチノ会中西部管区へ寄付金の小切手を贈呈。管区長のトム・マッカーシー神父が受け取った。
始球式を務めたのは、スプリングフィールドのドミニコ会修道女メアリー・ジョー・ソビエック。2018年の始球式では、ボールを腕で弾ませてから投げる姿が大きな話題となった。なお、この日の投球は、捕手役を務めたチェイス・メイドロスに対して、やや外角低めに外れた。
約40年に渡り球団でオルガン奏者を務めたナンシー・ファウストが演奏を担当し、スコアボードに姿が映るたびに大きな拍手が送られた。「プレーボール」の宣言は、「ザ・ポープ」の愛称で知られたホワイトソックスの元投手ドン・ポールが務めた。
一般配布へ拡大される前に特別チケットを購入していたファンには、教皇レオ14世のジャージも贈られた。一方、名前や肖像の使用権に配慮し、教皇帽にはレオ14世を直接示すデザインは採用されなかった。
「もちろん、教皇という立場には敬意を払いたい。教皇のボブルヘッドなど、さまざまな案が話題に上がったが、そうした方向性の企画は見送ることにした。それでも、教皇がホワイトソックスファンだと公に知られていることを、私たちは誇りに思っている。教皇がワールドシリーズを観戦した席には壁画も設置した」とボイヤーは語った。
「これはシカゴ・ホワイトソックスと、そのファンにとって間違いなく誇らしいことだ。当然、この事実を隠すつもりはないよ」
教皇からの応援が持つ意味を、ホワイトソックスも十分に理解している。
「それほど信仰心が強いわけではない僕にとっても、すごいことだ。大きな名声や影響力を持つ人はそこにたどり着くまでに相当な努力を重ねてきている。そんな人が球団とつながりを持っているのは、いつだってうれしいことだ」と右腕エリック・フェディは話す。
「友人からはよく、『教皇が君の名前を知っているかもしれないなんて、すごいと思わない?』と聞かれる。本当にすごいし、すごく特別なことだ。球団にとってもファンにとっても良いことだと思うし、僕もうれしいよ」
