ウィンターミーティング直前、ヤンキースの補強戦略・年俸バランスは

November 29th, 2025

まるで、デジャブのような光景だった。

アーロン・ジャッジは一塁からダグアウトへゆっくり歩きながら、ほんの一瞬だけ振り返った。再び10月に、再び”青いユニフォームのビジターチーム”がヤンキースのシーズンを終わらせた。

今年の相手はブルージェイズだった。コディ・ベリンジャーが空振り三振に倒れ、トロントに歓喜が訪れた。前年はドジャースにワールドシリーズ(WS)で敗れた。ジャッジとヤンキースが目指す頂にたどり着くには、高い壁が立ちはだかっている。

「2023年にヤンキースと再契約したとき、ここで仕事をやり遂げ、ワールドシリーズを持ち帰るつもりだった。今もその使命を追い続けている」とジャッジは語った。

では、これからどうするのか?

ヤンキースのハル・スタインブレナー球団オーナーは、ファンが「このチームは優勝できる」という現実的な期待を持ってスプリングトレーニングに臨むべきだと語った。実際、オーナー自身もそう信じていたし、アーロン・ブーン監督も「25年のチームはこれまでで最も強かった」と考えていた。

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だとすれば、その潜在能力を発揮できなかったことになる。しかも、ヤンキースを退けたブルージェイズはフリーエージェント(FA)トップ先発の一人、ディラン・シースと契約し、早くも来季に向けた強化に乗り出している。

両チームとも94勝でア・リーグ最高勝率を記録したが、レギュラーシーズンでは明確な差があった。ブルージェイズはヤンキースとの13試合のうち8試合に勝ち、その流れはポストシーズンにも及んだ。スタインブレナー・オーナーが指摘したように、ブルージェイズは地区シリーズで34イニングで34得点を挙げた。

「あれほど優れたプレーをしているブルージェイズには、あのような戦いでは勝てない。彼らは間違いなく私たちより良いプレーをした。長打でも、コンタクトでも、投手力でも上回っていた。だから勝ったのだ」と語る。

それでもヤンキースは、外部が考えるほどの実力差はないと考えている。

ドジャースが1998〜2000年のヤンキース以来となるWS連覇を果たしたにもかかわらず、スタインブレナー・オーナーは「支出と勝利の相関関係は弱い」と考えていると述べた。確かに、ドジャースの総年俸4億1500万ドル(約623億円)は他球団を大きく上回る。しかし、2位と3位がメッツとヤンキースであることもスタインブレナーは指摘した。メッツはプレーオフにすら届かず、ヤンキースも早々に敗退した。

「ドジャースを称えるべきだ。連覇は容易ではないし、それを劇的な展開で達成した。来年どうなるか見てみよう。ただ、われわれやメッツの年俸総額が低かったわけではない。それでもこの結果だ」とスタインブレナーは語った。

つまり重要なのは「どれだけ使うか」ではなく「どう使うか」ということだ。実際、スタインブレナーによれば今季の年俸総額3億1900万ドル(約498億円)には、マーカス・ストローマン(1850万ドル=約29億円)、DJ・ルメイヒュー(1500万ドル=約23億円)、さらには退団したアーロン・ヒックス(1078.5万ドル=約17億円)らも含まれている。

トレント・グリシャムが2202.5万ドル(約34億円)のクオリファイングオファーを受諾したことで、中堅手は確保できた。またキャッシュマンGMは、FA市場のトップ3外野手である、ベリンジャーとカイル・タッカーの代理人と「連絡を取り続けている」と明かした。どちらかを獲得すれば、ジェイソン・ドミンゲスやスペンサー・ジョーンズがトレード要員となる可能性がある。

「チームには上限とする年俸水準があるが、それがどこになるかはまだ不明だ。過去にも、マーケットが予想外の方向へ進んだことで、全力で交渉しても届かなかったことがある。山本由伸の時も、フアン・ソトの時もそうだった」とキャッシュマンGMは語った。

内野については、25年の布陣を基本的に維持するようだ。ベン・ライス、ジャズ・チザムJr.、アンソニー・ボルピー(手術からリハビリ中)、ライアン・マクマホンが軸となり、ホセ・カバレロとオズワルド・カブレラが開幕戦の遊撃手のポジションを争う。しかし、内野陣にも補強の余地がない訳ではない。

なお、スタインブレナーとキャッシュマンが明確な補強ポイントと強調するのはブルペンだ。特にデヴィン・ウィリアムズとルーク・ウィーバーがFAとなっている現状は早急に解決したいだろう。

先発ローテーションには自信を持っているものの、ゲリット・コールとカルロス・ロドンが手術後のリハビリでシーズン序盤を欠場する。クラーク・シュミットは後半戦から戦力になる可能性がある。

「2月から4月にかけて、健康面で運に恵まれることを願うが、運任せにするわけにはいかない。序盤戦を戦っていくための戦略を練っていく必要がある」とキャッシュマンGMは説明した。

これらの発言はウインターミーティング(12月7〜10日、フロリダ州オーランド開催)前の“駆け引き”なのか。まもなく明らかになる。