全米野球記者協会(BBWAA)が選出する今季の主要個人賞5部門の受賞者発表が近づいている。今年は新たな賞も加わった。
2026年のジャッキー・ロビンソン新人王、最優秀監督賞、サイ・ヤング賞、最優秀救援投手賞、最優秀選手賞(MVP)の最終候補が2日(日本時間3日)に発表された。最優秀救援投手賞は2026年に新設された賞で、各部門のア・リーグ、ナ・リーグそれぞれの上位3人がMLBネットワークの生放送で発表された。
各賞の受賞者は、11月9日からの週に発表される。新人王から順次発表される予定だ。
2026年のBBWAA各賞の最終候補者は以下の通り。(各部門の候補者はアルファベット順に掲載)
ア・リーグ最優秀選手賞(MVP)
11月12日発表
ヨルダン・アルバレス(アストロズ/DH)
ヨルダン・アルバレス(29)は、2022年のア・リーグMVP投票で3位に入り、今回も最終候補に選ばれた。左の強打者は今季、42本塁打、106打点で自己最多を更新。規定打席に到達した全打者で打率.316、出塁率.432、長打率.601はいずれもトップだった。2012年のミゲル・カブレラ以来、MLBでは14年ぶりとなる三冠王獲得にも迫ったが、最終的には届かなかった。
ジュニオール・カミネロ(レイズ/三塁手)
ジュニオール・カミネロ(23)は、飛躍を遂げた2025年に続き、今季も42本塁打、101打点、OPS.884の好成績を残した。全162試合に出場し、打率.276、出塁率.360、長打率.524を記録。2年連続でオールスターにも選出された。2025年のア・リーグMVP投票では9位に入った23歳は、今回初めてMVPの最終候補に入った。
ボビー・ウィットJr.(ロイヤルズ/遊撃手)
ボビー・ウィットJr.(26)は、2024年にもア・リーグMVPの最終候補に選ばれ、ヤンキースのスター選手、アーロン・ジャッジに次ぐ2位に入った。今季の打撃成績は打率.281、出塁率.359、長打率.441、18本塁打、54打点と2024年には及ばなかった。それでも、安定した打撃と卓越した守備が評価され、最終候補の3人に入った。ウィットJr.は、過去4シーズンすべてでア・リーグMVP投票の7位以内に入っている。
ナ・リーグ最優秀選手賞(MVP)
11月12日発表
ピート・クロウ=アームストロング(カブス/中堅手)
ナ・リーグMVPの最有力候補とされるピート・クロウ=アームストロング(24)は、攻守走のあらゆる面で素晴らしいシーズンを送った。45本塁打、41盗塁を記録し、史上7人目となる「40本塁打・40盗塁」を達成。MLB最多得点を記録したカブス打線の一員として、打率.280、出塁率.372、長打率.570の好成績を残した。中堅守備でも卓越した能力を発揮し、スタットキャストのOAA(平均的な野手と比較して増やしたアウト数)とFRV(守備による失点防止への貢献を得点換算した指標)で、いずれもMLB全体のトップに立った。2025年のナ・リーグMVP投票では9位だったが、今回初めて最終候補に選ばれた。
大谷翔平(ドジャース/DH・先発投手)
大谷翔平(32)は、過去3シーズン連続でMVPを受賞し、通算4度の受賞はバリー・ボンズ(7度)に次ぐMLB歴代2位となっている。ドジャースの二刀流スターは、左膝と右上腕二頭筋の負傷によって投手としての出場がシーズンの半分に限られたものの、85回2/3を投げて95奪三振、防御率1.79をマークした。打者としては6年連続の30本塁打を達成し、11盗塁を記録。2026年は打率.275、出塁率.377、長打率.512の成績でシーズンを終えた。
ブライス・トゥラング(ブルワーズ/二塁手)
ブライス・トゥラング(26)は、打撃面で飛躍を遂げた2025年に初めてナ・リーグMVP投票で票を獲得し、14位に入った。今季は打率.268、21本塁打、100打点、19盗塁、OPS.816で初めて最終候補に選出された。二塁手としてゴールドグラブ賞を2度受賞しており、MLB屈指の守備力も誇る。103勝59敗でMLB最高勝率を記録したブルワーズにとって、欠かせない存在だった。
ア・リーグ サイ・ヤング賞
11月11日発表
ディラン・シース(ブルージェイズ/右投手)
ディラン・シース(30)は、ホワイトソックスに所属した2022年のア・リーグのサイ・ヤング賞投票で2位に入り、パドレス時代の2024年にはナ・リーグで4位だった。2025年11月にブルージェイズと7年総額2億1000万ドル(約332億円)の契約を結び、移籍1年目の今季は29試合に先発して防御率2.40。169回を投げて239三振を奪い、奪三振率34.9%は自己最高、被本塁打11本は自己最少だった。
パーカー・メシック(ガーディアンズ/左投手)
パーカー・メシック(26)は、2025年8月にメジャーデビューを果たすと、シーズン終了までの7先発で防御率2.72と好投。その活躍が評価され、2026年は開幕からガーディアンズの先発ローテーションに定着し、期待に応えた。32試合に先発して186回1/3を投げ、防御率2.56、193奪三振の好成績。新人ながらサイ・ヤング賞の最終候補入りを果たした。
キャム・シュリットラー(ヤンキース/右投手)
速球派右腕のキャム・シュリットラー(25)は、ルーキーイヤーの2025年に14先発で防御率2.96と好投し、今季はア・リーグのサイ・ヤング賞最有力候補へと飛躍した。33試合の先発で防御率1.95はリーグトップ。239奪三振もシースと並んでリーグ2位タイだった。球団史に残る素晴らしいシーズンを送り、1978年にサイ・ヤング賞を受賞したロン・ギドリーの活躍にも匹敵すると評価された。
ナ・リーグ サイ・ヤング賞
11月11日発表
ジェイコブ・ミジオロウスキー(ブルワーズ/右投手)
ジェイコブ・ミジオロウスキー(24)は、驚異的なシーズンを送った。先発投手として前例のない球速に制球力の向上が加わり、ナ・リーグのサイ・ヤング賞最有力候補に躍り出た。メジャー2年目の右腕は、MLB最多の252奪三振をマークし、奪三振率(9イニング当たりの奪三振数)は13.0、防御率1.80は球団史上最高の数字を大幅に更新した。被打率.157も、規定投球回に到達した先発投手として記録が残る中で歴代最低だった。
クリス・セール(ブレーブス/左投手)
メジャー16年間のキャリアを通じ、クリス・セール(37)はサイ・ヤング賞投票で常に上位を争ってきた。今回で9度目の最終候補入りとなり、3位以内に入ったのは4度。2024年にはブレーブスで初受賞を果たしている。今季の防御率2.16はミジオロウスキーに次ぐナ・リーグ2位で162回2/3を投げ、ちょうど200三振を奪ってシーズンを終えた。
クリストファー・サンチェス(フィリーズ/左投手)
クリストファー・サンチェス(29)は、2025年のナ・リーグのサイ・ヤング賞投票でパイレーツのポール・スキーンズに次ぐ2位に入り、2年連続で最終候補に選ばれた。今季はMLB全体で2番目に多い207回を投げ、防御率2.91、231奪三振の好成績。さらに、50回2/3連続無失点の球団新記録を樹立。この間には、5月の先発5試合で計39イニング連続無失点の快投も含まれている。
ア・リーグ ジャッキー・ロビンソン新人王
11月9日発表
ケビン・マクゴニグル(タイガース/遊撃手・三塁手)
ケビン・マクゴニグル(22)は、21歳で迎えた開幕戦でメジャーデビューし、4安打2打点の活躍。メジャーで十分に通用する実力を備えていることを初戦から証明した。その後も新人とは思えない活躍を続け、打率.278、出塁率.376、長打率.430、18本塁打、12盗塁の好成績でシーズンを終えた。受賞すれば、タイガースでは2016年のマイケル・フルマー以来となる。
パーカー・メシック(ガーディアンズ/左投手)
サイ・ヤング賞の最終候補にも選ばれたパーカー・メシック(26)は、新人王にもノミネートされた。大きな評価を受けた要因の一つが、多くのイニングを投げながらも効率的な投球を続けたことだ。今季の投球回186回1/3は、2019年にマーリンズのサンディ・アルカンタラが197回1/3を投げて以来、新人投手として最多だった。受賞すれば、ガーディアンズでは1990年のサンディ・アロマーJr.以来となる。
ペイトン・トーリー(レッドソックス/左投手)
メシックと同じく、ペイトン・トーリー(24)も2025年にメジャーデビューした。1年目は7試合の登板で16回1/3を投げ、防御率6.06と苦しんだ。しかし、登板機会が大幅に増えた2026年は明らかな成長を遂げ、148回2/3で171三振を奪った。レッドソックスで最後に新人王を獲得した選手は2007年のダスティン・ペドロイアで、翌2008年にはア・リーグMVPにも輝いている。
ナ・リーグ ジャッキー・ロビンソン新人王
11月9日発表
カーソン・ベンジ(メッツ/右翼手)
カーソン・ベンジ(23)は、メジャー1年目から攻守走で優れた能力を発揮した。20本塁打、22盗塁とパワーとスピードを兼ね備え、打率.282、OPS.776の好成績。強肩を生かした外野からの好返球でも、何度もファンを沸かせた。受賞すれば、メッツでは2019年のピート・アロンソ以来となる。アロンソは同年、53本塁打を放って新人王に輝いた。
サル・スチュワート(レッズ/一塁手)
サル・スチュワート(22)は、112打点を挙げ、カージナルスのアレック・バーレソン(116打点)、アロンソ(113打点)に次ぐMLB3位に入った。2025年は18試合の出場でOPS.838と好成績を残し、メジャー2年目の今季は打率.263、出塁率.330、長打率.457でシーズンを終えた。32本塁打、15盗塁と多彩な攻撃能力を発揮。受賞すれば、レッズでは2021年のジョナサン・インディア以来となる。
JJ・ウェザーホルト(カージナルス/二塁手)
JJ・ウェザーホルト(24)は、MLB最高の内野守備を誇る選手と評されても不思議ではない。新人ながら卓越した守備力を発揮し、打撃でも打率.242、17本塁打、15回の盗塁企図で14盗塁、OPS.704と堅実な成績を残した。カージナルスでは2001年のアルバート・プホルスを最後に新人王が誕生しておらず、ウェザーホルトも偉大な先輩に続く可能性がある。
ア・リーグ最優秀救援投手賞
11月11日発表
ブライアン・ベーカー(レイズ/右投手)
ブライアン・ベーカー(31)は、2025年7月に戦力均衡ラウンドAのドラフト指名権との交換トレードでオリオールズから加入し、今季は絶対的な守護神として活躍した。MLB最多タイの41セーブをマークし、44度のセーブ機会で41度成功。セーブ成功率93.2%を誇り、レギュラーシーズンの最後は30連続セーブ成功で締めくくった。62回1/3を投げ、防御率1.44、63奪三振の好成績でシーズンを終えた。
ケイド・スミス(ガーディアンズ/右投手)
ケイド・スミス(27)は、ベーカーと並んでMLB最多の41セーブを挙げた。46度のセーブ機会で41度成功し、成功率は89.1%。防御率1.95、74回で107三振を奪い、奪三振率13.0という圧倒的な数字を残した。2024年にはア・リーグのサイ・ヤング賞投票で9位、新人王投票で5位に入り、現在はMLBを代表するクローザーに成長している。
ルイス・バーランド(ブルージェイズ/右投手)
ルイス・バーランド(28)は、2025年のトレード期限にツインズからブルージェイズへ移籍し、2026年にはクローザーを任された。その起用に見事に応え、37度のセーブ機会で35度成功。セーブ成功率94.6%は、今季25度以上のセーブ機会があった投手の中で、アロルディス・チャップマン(38)と並ぶMLB2位タイだった。
ナ・リーグ最優秀救援投手賞
11月11日発表
ジョアン・デュラン(フィリーズ/右投手)
ジョアン・デュラン(28)は、フィリーズ移籍後初めてフルシーズンを戦った今季、メジャー5年間で最高の成績を収めた。59回1/3を投げて防御率1.82、84三振。100マイル(約161キロ)を超える速球と平均97.6マイル(約157キロ)の鋭い「スプリンカー」を武器に、35度のセーブ機会で33セーブを挙げ、成功率94.3%をマークした。自身初のオールスターにも選出された。
トレバー・メギル(ブルワーズ/右投手)
トレバー・メギル(32)は、2025年に初めてオールスターに選ばれ、2026年も好調を維持した。33度のセーブ機会で30セーブを挙げ、成功率90.9%。61回2/3を投げて69三振を奪った。2021~22年はカブスとツインズで防御率6.03と苦しんだが、ブルワーズに移籍してからの4年間は防御率2.80、81セーブと安定した成績を残している。
メイソン・ミラー(パドレス/右投手)
メイソン・ミラー(28)は、パドレス移籍後初のフルシーズンとなった2026年、打者を圧倒する投球だった。70回を投げて129三振、奪三振率は驚異の16.6。38セーブはカージナルスのライリー・オブライエンと並んでナ・リーグ最多だった。41度のセーブ機会で38度成功し、成功率92.7%。防御率1.67も自己最高だった。
ア・リーグ最優秀監督賞
11月10日発表
ケビン・キャッシュ(レイズ)
ケビン・キャッシュ監督(48)は、2015年のシーズン開幕前にレイズの指揮官に就任し、現在のMLBでは最も在任期間が長い監督となっている。12年間で通算994勝848敗、勝率.540。2025年は77勝に終わったが、今季はア・リーグ最多の98勝(64敗)を挙げ、監督として3度目のア・リーグ東地区優勝に導いた。2020年と2021年にはア・リーグ最優秀監督賞を受賞しており、今回が3度目の受賞となる可能性がある。
チャド・トレーシー(レッドソックス)
チャド・トレーシー監督(41)は、レッドソックスが開幕から10勝17敗と低迷し、アレックス・コーラ監督前(51)を解任した後、監督代行に就任した。その後は77勝58敗の好成績でチームを立て直し、7月3~22日には球団記録に並ぶ15連勝も達成。ア・リーグのワイルドカード獲得へと導いた。9月22日には球団が正式に監督就任を発表し、代行の肩書が外れた。
ウィル・ベナブル(ホワイトソックス)
ウィル・ベナブル監督(44)の下、ホワイトソックスは近年、着実に復活への道を歩んでいる。今季はア・リーグのワイルドカードシリーズでアストロズに勝ち、2005年のワールドシリーズ制覇以来、球団21年ぶりとなるポストシーズンのシリーズ突破を達成した。2024年は41勝121敗と歴史的な低迷に苦しんだが、同年オフに就任したベナブル監督の下、2025年は60勝102敗と改善。さらに今季は84勝78敗と大きく勝ち星を伸ばし、勝ち越しを達成した。
ナ・リーグ最優秀監督賞
11月10日発表
ドン・マッティングリー(フィリーズ)
ドン・マッティングリー監督(65)は、2022年のロブ・トムソンと同様にシーズン途中からフィリーズの指揮を執り、チームをポストシーズン進出へ導いた。ただし、今回はそのトムソンが開幕から9勝19敗の低迷で解任され、マッティングリーが後任に就任。最初の9試合で8勝を挙げると、就任後は79勝55敗とチームを立て直した。最終的に88勝74敗でレギュラーシーズンを終え、最終日にナ・リーグのワイルドカード進出を決めた。マッティングリーは2020年にマーリンズを率いてナ・リーグ最優秀監督賞を受賞している。
パット・マーフィー(ブルワーズ)
パット・マーフィー監督(67)は、1983年に全米野球記者協会(BBWAA)の最優秀監督賞が創設されて以来、史上初となる3年連続受賞を目指している。ブルワーズで初めてフルシーズンの指揮を執った2024年は93勝、翌2025年は97勝を挙げ、いずれもナ・リーグ中地区優勝に導いて最優秀監督賞を受賞した。2026年はさらに成績を伸ばし、4年連続の地区優勝を達成。MLB最多の103勝を挙げ、球団を躍進させた。
ウォルト・ワイス(ブレーブス)
ウォルト・ワイス監督(62)は、2013~16年にロッキーズを率いて通算283勝365敗。2026年にブライアン・スニッカーの後任としてブレーブスの監督に就任し、チームを3年ぶりのナ・リーグ東地区優勝へ導いた。2025年は負傷者が相次ぎ、76勝86敗と低迷したが、ワイスの就任1年目に94勝68敗まで成績が改善。ナ・リーグのワイルドカードシリーズでは同地区のライバル、フィリーズにも勝った。
