タイガースは4日(日本時間5日)、左腕フランバー・バルデスと3年総額1億1500万ドルの契約に合意し、予想外の大型補強を行った。昨年、ポストシーズンで敗退し、雪辱に燃える球団にとって、この動きは非常に大きな意味を持つ。
机上の計算では、バルデスとタリク・スクーバルのコンビは、メジャーリーグ全体でも屈指の「二枚看板」と言える。では本当に最強なのか。ファングラフスの分析によれば、その答えは「イエス」だ。スクーバル(6.3WAR=勝利貢献の総合指標)とバルデス(3.6WAR)は、2026年に合計9.9fWARを記録すると予測されており、これは、同一チームに所属する先発投手2人の組み合わせとして、最高の予測合計WARとなる(あくまでfWAR基準)。
もちろん、他にも強力な二枚看板は数多く存在する。ここからは、2026年のローテーションの「二枚看板」トップ10を見ていこう。
1. タイガース:タリク・スクーバル&フランバー・バルデス(9.9WAR)
前述の通り、タイガースがこのランキングで上位に来るのは当然だ。ア・リーグのサイ・ヤング賞を2年連続で受賞しているスクーバルは昨季全投手でトップのWAR6.6を記録。2024年からさらに進化をとげ、防御率とFIP(守備力に左右されない防御率)を改善させながら、奪三振率も向上させている。
しかし、ランキングのトップに立っているのはバルデスが加入したからこそ。2022年以降で、バルデスより多くのWARを積み上げている投手は、わずか4人しかいない。この4年間で、バルデスは投球回数でメジャー2位を記録し、防御率3.21、FIP3.29と、いずれもトップ20に入る数字を残している。強力なシンカーを武器にゴロを量産する投球スタイルが特徴だ。
この2人は、実戦経験という点でもトップクラスの二枚看板と言える。バルデスはポストシーズンで通算16試合に先発しており、経験値も大きなプラスだ。
2. レッドソックス:ギャレット・クローシェ&ソニー・グレイ(9.5WAR)
クローシェは、まさに王道のエース投手だ。昨季は255奪三振でメジャー最多、投球回数205回1/3で全体2位となり、それまでの自己最多を約60イニングも更新した。スクーバルやポール・スキーンズを除けば、現時点で球界最高の投手と言っても過言ではない。
オフシーズンの初め、レッドソックスのクレイグ・ブレスロー編成本部長は、そんなクローシェと並んでポストシーズンの先発を任せられる投手を獲得したいと語っていた。そしてレッドソックスはそれを実現した。グレイをトレードで獲得し、さらにレンジャー・スアレスと5年総額1億3000万ドルの契約を結んだ。予測では、13年のキャリアを持ち、7つの球種を操り、2年連続で200奪三振を記録しているグレイの評価が高い。
ただし、スアレスを推す見方も十分に成り立つ。精密な制球力と多彩な球種を武器に、2025年にはキャリア初となるWAR4.0超のシーズンを送った。
3. フィリーズ:クリストファー・サンチェス&ヘスス・ルザルド(8.3WAR)
この左腕コンビは、常に高い評価を受けるフィリーズ先発陣の柱だ。サンチェスは昨季、ナ・リーグのサイ・ヤング賞投票で2位に入り、全投手中3位となるWARを記録。真のエースとして台頭した。
一方、フィリーズ1年目となったルザルドは、予想以上の活躍を見せた。新たなアームスロット(腕の角度の変更)を採用したことで、繰り返していた背中の負傷を回避し、216三振、投球回数182イニング2/3といずれも自己最多を更新した。
このローテーションにおける不確定要素がザック・ウィーラーだ。昨年9月に胸郭出口症候群の手術を受けており、開幕に間に合うかは不透明となっている。ファングラフスの予測では、ウィーラーの2026年の投球回数は127イニングとされており、実際にそうなれば、コロナ禍の影響を受けた2020年を除き2017年以来の少なさとなる。
そのため、予測WARではウィーラー(2.9)がルザルド(3.5)を下回っている。ただし、健康な状態のウィーラーがこの数字を大きく上回っても、何ら不思議ではない。実際、2021年以降、野球界で最も価値のある投手の一人であり続けている。
主役は明らかにスキーンズだ。ファングラフスは、現ナ・リーグのサイ・ヤング賞投手であるスキーンズが2026年に5.4WARを積み上げると予測している。これは全投手中で3番目に高い予測値となる。
その理由は明白だ。身長198センチ(6フィート6インチ)の右腕は7つの球種を操り、直球の球速はリーグ上位5%に入る。こうした武器により、ライブボール時代におけるパイレーツ投手として歴代ベストのシーズン防御率(1.97)を記録した。しかも、まだ23歳である。
ケラーは、スキーンズの次にパイレーツ投手陣で最も高いWARを記録すると予測されている。過去3シーズンで95試合に先発しており、安定感と耐久性を兼ね備えた質の高い投手だ。
5. ブレーブス:クリス・セール&スペンサー・シュウェレンバック(7.2WAR)
37歳のシーズンを迎える今も、セールが疑いようのないエースであることに変わりはない。昨季は肋骨骨折により長期に渡って負傷者リスト入りとなったが、防御率2.58、9回あたりの三振数は11.8を記録。120イニング以上投げた投手の中では2番目に高い奪三振率だった。
セールに次ぐ2番手として、予測ではスペンサー・ストライダーではなくシュウェレンバックが評価されている。シュウェレンバックはキャリアFIP3.27を記録。これは、2024年開幕以降(230イニング以上)でメジャー全体トップ15に入る数字だ。25歳の右腕は元々の多彩な球種に加え、昨季は球速が大きく向上したことで、フォーシームの質もさらに向上した。
一方のストライダーは、大きな肘の手術から復帰後、本来の姿を取り戻したとは言い難かった。奪三振率はキャリア最低の24.3%に落ち、フォーシームの平均球速も2023年から数マイル低下し、95.5マイル(約153キロ)にとどまった。
ファングラフスはストライダーを2.8WAR、シュウェレンバックを3.2WARとそれぞれ評価。いずれにせよ、非常に強力なデュオであることに変わりはない。
ブルージェイズは11月、シースと7年総額2億1000万ドルで契約し、オフシーズン最初の大型補強を成功させた。
シースとゴースマンは、ともに過去5年間でメジャー全体トップ4に入るWARを記録。2021年以降でこの2人より多くのWARを積み上げたのは、ザック・ウィーラー(26.7WAR)とローガン・ウェブ(23.2WAR)だけだ。
一見すると不安定な2025シーズンを送ったシースだが、実際には、9回あたりの三振数がリーグトップの11.52を記録するなど、細かい指標面では非常に優秀だった。一方のゴースマンも、35歳を迎える今なお衰えは感じさせない。昨年のポストシーズンでは、56回1/3を投げて防御率2.93と、その健在ぶりを示した。
シアトルの若手投手陣は球界屈指であり、現在はウーがその先頭に立っている。25歳だった昨年、ウーは自己最多の186回2/3を投げ、防御率2.94を記録。球界屈指の質を誇る、独特な軌道のフォーシームを武器に25試合連続で6イニング以上を投げるという安定感を見せた。
ウーに次ぐ存在として、ファングラフスはローガン・ギルバートよりもカービーを高く評価しているが、両者ともにエース級の能力を備えている。28歳のカービーは、通算四球率3.6%という数字が示す通り、球界屈指の制球力を誇る。同じく28歳のギルバートは球種を増やして空振りを取れる投手へと進化し、奪三振率は2024年の上位20%から、2025年には上位6%へと大きく向上した。
28歳のレイガンズは間もなく全米に名を知られる存在になるだろう。昨季は負傷の影響で先発13試合にとどまったが、それでも強い印象を残し続け、61回2/3を投げて98三振を記録。9回あたりの三振数は14.3、xERA(期待防御率)はMLB全体で上位4%に位置した。健康なレイガンズはサイ・ヤング賞候補であり、実際に2024年にはア・リーグ投票で4位に入っている。
2018年ドラフトの上位指名選手であるブービックは、昨季ついに才能が開花し、予想外のオールスター選出を果たした。左腕は完成度の高い球種を武器としており、伸びのある速球と2つの変化球を軸にしている。7月に肩腱板挫傷でシーズンを終えたが、この2人の左腕が健康を保てば、リーグ屈指の二枚看板を擁することになる。
9.レンジャーズ:ジェイコブ・デグロム&ネイサン・イオバルディ/マッケンジー・ゴア(6.6WAR)
デグロムは現在37歳で、2度目のトミー・ジョン手術を経たため、これまでと全く同じ投手ではない。しかし、2度のサイ・ヤング賞受賞投手はいまなおエリートだ。
昨季は172回2/3を投げ、2019年以来の自己最多イニングを記録。防御率2.97、ピッチング・ラン・バリュー(投球内容でどれだけ相手が得点する可能性を減少させたか)は+33でMLB全体の上位2%に入った。
デグロムに次ぐ存在として、ファングラフスは2026年にイオバルディとゴアがそれぞれ2.9WARを記録すると予想している。レンジャーズはナショナルズとのトレードで5人の有望株を放出し、ゴアを獲得。球団上層部は初のオールスターとなった左腕をさらに成長させることに期待している。
一方のイオバルディは、22先発で防御率1.73と、静かに驚異的なシーズンを過ごした。100イニング以上投げた投手の中では最も低い防御率だった。35歳のベテランは通算ポストシーズン防御率3.05を誇り、ワールドシリーズ制覇も2度経験している。
連覇中の王者は、昨年10月に歴史的な支配力を見せたローテーションを擁している。それでもこの順位にとどまっている理由は、主に「量」だ。予測では、ドジャースの先発投手で155イニングを超える者はいない。
例えば大谷翔平は、トミー・ジョン手術明け初のフルシーズンで116イニングと予測されており、そのため投手としてのWARは2.3にとどまっている(打撃は含まず)。
ドジャースは近年、4月のイニング数よりも10月のイニング数を重視し、主力投手を長期的視点で起用する傾向を示してきた。これは多くの球団にはできない贅沢な判断であり、ここ数年で学んだ教訓でもある。実際、すでにスネルは、ポストシーズンでの負荷を踏まえ、慎重に調整を進めている。
こうした起用方針が、主力投手たちのWAR予測値が「良いが突出してはいない」水準に収まっている主因だ。
10位タイ:レッズ:ハンター・グリーン&アンドリュー・アボット(6.5WAR)
2025年は鼠径部の肉離れにより2カ月以上離脱し、グリーンは自己最少となる107回2/3イニングの登板にとどまった。健康な状態であれば、平均99.5マイル(約160キロ)のフォーシームで支配力を発揮する、球界最速クラスの先発投手だ。
しかし最大のトピックは、アボットがローテーション中盤から、一気に最前線を任される選手へと飛躍したことだ。技巧派左腕は防御率をほぼ1点改善し、2024年の3.72から2025年は2.87へと向上。速球の球速が下位24%に過ぎない中で結果を残した。
このオールスター級コンビは、互いの特性を見事に補完し合っている。
