今年のウインターミーティング最大のテーマは「パワー」だった。
注目の大型契約は2件。カイル・シュワーバーはフィリーズと5年総額1億5000万ドル(約235億)でフィラデルフィアに残留。ピート・アロンソはオリオールズと5年総額1億5500万ドル(約240億円)で契約し、新天地に移籍した。
これでフリーエージェント(FA)市場の最大のパワー打者は姿を消したが、2026年シーズンに向けてチームはどこで長打力を補強できるだろうか。ここでは、昨季大活躍した打者や来季の巻き返しが期待される候補を含め、注目のFAパワー打者13人を紹介する。
市場に残る最高の長距離打者
スアレスは昨季、ダイヤモンドバックスとマリナーズで合計49本塁打を記録し、自己最多タイを達成。ダイヤモンドバックス時代には1試合で4本塁打を放ったこともあり、シアトルではポストシーズンで3本塁打を記録。特にアメリカンリーグチャンピオンシップシリーズ第5戦では、決勝グランドスラムを放つ活躍も見せた。
スアレスは空振りも多く、昨季の三振率は29.8%に達したが、バットに当たればホームランになることが多く、特に左方向への引っ張り本塁打が目立つ。昨季の規定打席到達者の中では、打球の16.3%が引っ張りのフライボールでリーグ3位だった(最低300打球)。
Statcastによると、スアレスのバレル率は14.3%で全体の上位11%に位置する。2025年は特にスライダーに対して強力で、スライダーに対する長打率は.655を記録した。2018年以降のホームラン数ではスアレス(261本)を上回る選手はわずか5人のみ。市場に残る「純粋なパワー打者」としては、間違いなくスアレスが注目株だ。
オールラウンドな才能派
長打力に加えて総合力のある打者は、まだまだFA市場に残っている。
今オフの注目株の一人、タッカーはFA市場でトップクラスの打者と見なされていた。28歳の右打ち外野手はオールラウンドプレーヤーとして確立されており、昨季は自己基準でやや不振だったものの、まさに全盛期の中盤にいる。過去5シーズンでOPS.878、134本塁打、105盗塁を記録。4度のオールスター選出歴を持つが、ここ2年は相次ぐケガで出場を欠くこともあった。
一方のベリンジャーは、ドジャースで一躍スラッガーとして注目されながら、2021~22年に打撃成績が大きく低下。しかし2023年にはカブスで復活し、ナ・リーグ最優秀復活選手賞を受賞。2019年のNL MVPシーズンほどの成績は再現できていないものの、依然としてパワーは脅威で、昨季ヤンキースで放った29本塁打はMVPシーズンの47本以来の多さとなった。さらに、三振率はキャリア最低の13.7%で、MLBの上位9%に位置している。
アレックス・ブレグマンも、ベリンジャーと同様に、NL MVPを獲得した年に近い成績を再現できていない。その年、ブレグマンは自己最多の41本塁打を放ち、119四球でMLBトップとなった。
ブレグマンとベリンジャーには他にも共通点がある。どちらも三振が少なく、空振りも滅多にしない。昨季、ブレグマンの三振率は14.1%、空振り率は15%で高水準。一方、ベリンジャーは空振り率18.1%だった。
ボー・ビシェットは、2024年はケガで不振だったが、2025年には見事に復活。ブルージェイズをワールドシリーズ第7戦まで導いた。まだ27歳で、フルシーズンにおけるキャリア通算2位となる長打率.483を記録した。
日本の長打力打者
村上宗隆&岡本和真
村上宗隆は「ルース級」のパワーを持つと言われており、2022年にはNPBで56本塁打を放ち三冠王を獲得するなど、その実力を示した。課題は三振で、2024年は三振率29.5%を記録。2025年は腹斜筋のケガで56試合の出場にとどまったが、それでも22本塁打を放った。
村上の長打力は打球速度にも表れており、2025年の最速打球速度は116.5マイル(約187.4キロ)を記録。ヤクルトスワローズからポスティング制度を通じてメジャー移籍する場合にも、このパワーは大きなアドバンテージとなる。三振率は懸念材料だが、潜在能力は非常に高い。
一方の岡本和真も日本で高い長打力を誇り、2018年から2023年まで毎シーズン30本以上の本塁打を放ち、通算248本塁打を記録。村上よりも打撃が安定しており下限が高いと評価されるが、村上の「圧倒的パワー」は長期的には上限の高さに繋がる可能性があると、一部の球団関係者は見ている。
長打力を持つスイッチヒッター
ポランコは2021年にツインズで33本塁打を放ったシーズン以来、打撃面でキャリア最高のパフォーマンスを見せた。スイッチヒッターの二塁手/指名打者であるポランコは、昨季マリナーズで471打数26本塁打、打率.495を記録し、チームのアメリカンリーグチャンピオンシップシリーズ進出に貢献した。
今後の課題は耐久性だ。2021年の大活躍シーズン以降、1シーズンで138試合以上出場したことはなく、最近は膝の不調も抱えている。
一方、ベルは一貫して20本以上の本塁打を放つ打者だが、パイレーツ時代の2019年のオールスター級のシーズン(37本塁打)にはまだ届いていない。
復活が期待される打者
レンジャーズが2025年シーズン後にガルシアをノンテンダー(契約更新拒否)としたのは少々驚きだった。しかし、状況を考えれば必ずしも不思議ではない。2023年のALCS MVPであり、同年ワールドシリーズ第1戦のサヨナラヒーローは、その後2シーズンで打撃成績が低下した。
2023年には39本塁打、OPS.836とキャリア最高のシーズンを送り、以降の2シーズンはOPSがいずれも.700を下回った。2025年はOPS.665、19本塁打にとどまった。しかし、わずか2シーズン前の大活躍を考えれば、2026年の復活は十分に現実的だ。
一方、オズナは2024年のNL MVP投票で4位に入ったものの、昨季は数字を落とした。平均以上の打者ではあるが、前シーズンの高さと比べると打撃成績の低下は目立った。2024年は打率.302、出塁率.378、長打率.546で39本塁打を記録したが、昨季は長打率が.400まで低下し、本塁打も半減近くの21本にとどまった。
オズナについては、2026年に35歳シーズンを迎えるため、年齢による影響がどの程度出るかは不透明だ。しかし、2年前に圧倒的な活躍を見せた選手であり、復活を狙うなら再び活躍の場を見つけられるはずだ。
ホスキンスは2023年に左膝前十字靱帯を手術で修復して以来、フィリーズ時代のような長打力を取り戻せていない。昨季までに20本以上の本塁打は記録できるものの(2024年はブルワーズで26本)、手術前の長打率.492に対して、以降は.418にとどまる。それでも手術後、131試合以上出場したシーズンがなく、2026年に健康を維持できれば復活の可能性はある。
コンフォートはキャリア序盤にメッツで注目を集めたが、健康面の不安から潜在能力を発揮しきれなかった。2017年から2019年にかけて88本塁打を記録したが、2022年の右肩手術でシーズン全休となるなど、以降は成績が安定しない。昨季ドジャースでは138試合でキャリア最低の打撃成績(OPS.637)に終わった。
ただし、復活の兆しを示すデータもある。昨季のxSLG(期待長打率)は.404で実際の長打率より71ポイント高く、44%の硬打率はキャリア平均の41.1%を上回った。バレル率9.7%もキャリア平均の10.3%と大きく乖離していない。空振り率、三振率、四球率もキャリア水準に沿っており、条件次第で再び打撃力を発揮できる可能性がある。
