壮絶な一戦 2025WS第7戦の名場面トップ10

November 2nd, 2025

ドジャース5-4ブルージェイズ】トロント/ロジャースセンター、11月1日(日本時間11月2日)

11月1日夜に始まり、東部時間では11月2日の朝に終わった、ワールドシリーズ第7戦の激闘。言葉だけでその壮絶さを表すのはほとんど不可能だと思われるほどに、見応えの多い一戦だった。

勝負を決める本塁打、華麗な守備、緊迫の投球、さらには乱闘騒ぎまで。野球における、あらゆる要素が詰まっていた。

ここでは、そんな試合で最も重要だった場面、トップ10を振り返る。

1.ミゲル・ロハス、九回の同点弾

スター揃いのシリーズで最も劇的な瞬間を生んだのは、意外にもドジャースの9番打者ミゲル・ロハスだった。九回、ブルージェイズ守護神ジェフ・ホフマンから放った同点本塁打は、ロハス自身のポストシーズン通算2本目で、2020年のマーリンズ時代以来の一発。さらに右投手からの本塁打は今季わずか2本目で前回は6月14日。まさに奇跡の一撃だった。

2.アンディ・パヘス、九回を締めるランニングキャッチ

九回1死満塁、あと一歩でブルージェイズのシリーズ優勝が決まる場面で投入されたのは、強肩で知られるアンディ・パヘスだった。2死後、アーニー・クレメントが左中間へ高く打ち上げた打球をパヘスは左翼のキケ・ヘルナンデスと衝突しながらもキャッチし、試合を延長戦へと持ち込んだ。

驚くべきはその守備範囲だ。121フィート(約36.9メートル)をカバーし、29.2フィート/秒(約8.9メートル/秒)のスピードで到達。まさに信じられないプレーだった。

3.ロハス、本塁封殺で再びチームを救う

同点弾の直後、ロハスは守備でもチームを救った。九回裏、ブルージェイズは1死満塁。三塁走者のカイナー=ファレファがホームを狙う中、ドールトン・バーショのゴロをロハスが体勢を崩しながらも捕球し、鋭い送球を本塁へ。捕手ウィル・スミスが数センチの差でアウトに仕留めた。

リプレイ検証では、スミスの足が一瞬ホームを離れるも、直後に戻っていたことが確認された。ロハスは第6戦でも、九回の守備で試合を締める好捕をしており、2夜連続で救世主となった。

4.山本由伸、ムーキー・ベッツが優勝決定の併殺

第2戦で完投、第6戦で6回1失点した翌日に中0日で登板したのが、山本由伸(27)だった。延長11回、1死一、三塁、1点リードの場面で山本はカークをショートゴロに打ち取ると、ベッツが二塁を踏んで一塁へ送球。ワールドシリーズ制覇を決める併殺打が完成した。

ダブルプレーでWSが締めくくられたのは1947年、当時のブルックリン・ドジャースがヤンキースに敗れた時以来だった。

5.死球騒動で両軍ベンチ総出

これほどの試合に、さらにドラマが加わった。四回、ドジャース左腕ジャスティン・ロブレスキーがアンドレス・ヒメネスに死球を与えると、ヒメネスが激昂。両軍のベンチとブルペンが一斉に飛び出し、グラウンド上は一触即発の空気に包まれた。
結果的に退場者は生まれなかったが、WSの舞台でまさかの一幕となった。

6.ウィル・スミス、延長11回の決勝弾

信じられないことに、決勝本塁打が「6位」に入るほど、この試合は異常だった。
第3戦の18回を含めた、シリーズの全イニングでマスクをかぶり続けたウィル・スミスは、2025年シーズン最後の一振りを放った。延長11回、シェーン・ビーバーから放った特大のソロ弾は、試合を通じてドジャース初のリードをもたらし、そのまま決勝点となった。この一打は、ワールドシリーズでの「勝てば優勝、負ければ敗退」の一戦における史上初の延長本塁打となった。

7.ブルージェイズ、延長10回のピンチを凌ぐ

延長に入った直後、ブルージェイズはセランソニー・ドミンゲスが2四球と安打で1死満塁の大ピンチを背負ったが、好守を見せ続けてきたトロントの守備陣が躍動した。

まず遊撃のアンドレス・ヒメネスが前進守備からゴロを華麗にさばき、本塁で送球アウト。続くキケ・ヘルナンデスの緩いゴロは、一塁手ブラディミール・ゲレーロJr.が前進して捕球し、カバーに入ったドミンゲスにトス。ドミンゲスは背を向けたまま足で一塁ベースを踏み、ギリギリでアウトにした。

8.ビシェット、大谷翔平から3ラン

膝の負傷でプレーオフ終盤まで出場できなかったボー・ビシェットが、第7戦でいきなり試合を動かした。三回、大谷から放った442フィート(134.7メートル)の特大3ランで試合の均衡を破り、ロジャースセンターを揺らした。この一発で大谷はマウンドを降りた。また、直前にブラディミール・ゲレーロJr.を敬遠したドジャースにとっては、手痛い代償となった。

9.バーショ、全力ダイブでチームを救う

このプレーは、ドールトン・バーショにとっても大胆な判断だった。三回に3点を先制した直後の四回、マックス・シャーザーが1死満塁のピンチを迎える。テオスカー・ヘルナンデスのライナー性の打球がセンター前へ飛んだ時、バーショは一瞬の判断を迫られた。

バウンドを許しシングルにすれば1点で済むが、リスクを犯して抜ければ致命的となる。しかし、バーショは迷わず前へ飛び込み、見事に好捕。シャーザーはこの守備に救われ、1失点にとどめた。

10.ゲレーロJr.、華麗な3-6-3併殺で七回を締める

22歳の新人トレイ・イェサベージが、2点リードを守るため七回のマウンドへ上がった。第5戦から中2日での登板となり、先頭の大谷に四球を与えたが、続くフレディ・フリーマンのゴロを一塁手ブラディミール・ゲレーロJr.が好捕。二塁へ矢のような送球を投げ、ヒメネスが素早く一塁へ転送。3-6-3の美しい併殺打が完成した。イェサベージは両手を掲げてガッツポーズ。ブルージェイズはその時点であと6アウトで悲願の世界一に届くところまで来ていた。