これさえ読めば大丈夫!2025オールスターゲーム総まとめ

初めて尽くしの球宴に

July 16th, 2025

ア・リーグ6-7ナ・リーグ】アトランタ/トゥルーイスト・パーク、7月15日(日本時間16日)

アトランタで開催された、2025年のオールスターゲーム。各選手が所属チームのユニフォームを着て行われた戦いは、新たなチャレンジシステム、延長に代わる試合決着など初めて尽くしの一戦になった。

ナ・リーグが6点をリードするもア・リーグが一気に追いつき、試合は史上初の『スイングオフ』で決着をつけることとなった。

史上初のスイングオフ、MVPのシュワーバー

2022年のルール改正によって、延長戦の代わりとして導入されたこの新方式。各チームから3人の打者が選出され、それぞれ3スイングずつで本塁打の合計数を競う。

ア・リーグはルーカーが最初に登場し、3スイング中、2本塁打。対するナ・リーグのストワーズは1本にとどまった。

続くア・リーグのアロザレーナは1本塁打を放ったが、ナ・リーグのシュワーバーが3スイング全てで本塁打を記録する勝負強さを披露。ナ・リーグに4-3のリードをもたらした。

最後に登場したア・リーグのアランダはフェンス直撃の一打があったものの本塁打はなし。ナ・リーグがオールスターゲーム史上初のスイングオフ勝利を収めた。

「最高だったよ。チームメイトはみんな本気で盛り上がってくれて、スイングの度に叫んで、声援を送ってくれた。最後の打球がスタンドに入った時、みんな大興奮だった。本当に楽しかったよ」

シュワーバーは五回、指名打者の大谷に代わって代打で出場したが、試合でヒットは出なかった。しかし、最後の最後でまさに主役として活躍し、MVPを勝ち取った。

同点劇の立役者たち

ホームランダービーでわずか数センチ差で敗退したルーカーが、翌日の試合では文句なしの一発を放った。七回、ジャイアンツのロドリゲスから3ランを放ち、ア・リーグに初得点をもたらし反撃の口火を切った。真ん中に入った158キロの直球を完璧に捉え、左中間スタンド奥に400フィート越えの一発となった。

ここから試合が一気にヒートアップする。

ロイヤルズの三塁手ガルシアが四球で出塁すると、二塁へ盗塁。捕手(ロッキーズのグッドマン)が送球ミスを犯したことで三塁へ進み、ロイヤルズのチームメート、ウィットJr.の内野ゴロでホームインし1点を追加する。

さらにウィットJr.は九回にも反撃の火付け役となり、バクストンの二塁打に続き、右翼線への適時二塁打で1点を追加。ウィットJr.はゴロの間に三塁に進み、クワンの内野安打で生還し、あと1アウトという土壇場で追いつき、試合をスイングオフへと持ち込んだ。

最多本塁打、ハンク・アーロンを追悼

六回終了後には、1974年4月8日にベーブ・ルースの通算714本塁打を抜き、715本を記録したハンク・アーロンの偉業を称え、追悼が行われた。グラウンドに映像を投影し、当時の試合を再現した演出も披露。妻のビリー・アーロン氏もスクリーンに登場し、スタンディングオベーションを受けた。

スキーンズが躍動

オールスターゲームの開幕を告げたのは、スキーンズの豪速球だった。 昨年のナ・リーグ新人王はスピードのある直球を武器に、2三振。ピッチトラッキングが導入された2008年以降、オールスターの先発投手として最速を記録した。(過去最高はシャーザーの99.5マイル)

2-2のカウントから、99.7マイル(160.5キロ)の高めの速球でトーレスを空振り三振に打ち取ると、同じくタイガースのグリーンから、内角高めの100.3マイル(161.4キロ)で2つ目の三振を奪った。最後に、アーロン・ジャッジをショートゴロに打ち取り、三者凡退で登板を終えた。

今季奪った131の三振の中でも今回の1球は最速。最大の舞台で、迫力に満ちた投球を披露した。

「打者はみんなホームランを狙うし、投手は三振を狙う。オールスターはそういうものだ」

偉大なるキャリアに刻まれた新たな1ページ

カーショウの11度目のオールスターゲームは、華やかでユーモアにあふれた登板となった。スキーンズからバトンを受けた二回にテレビ中継用にマイクを付けて、マウンドに上がった。

カーショウは真ん中に入った143キロの直球をローリーに左前へ弾き返されたが、カブスのタッカーが見事にスライディングキャッチ。「今のヤバかったな!」とFOXの実況のジョー・デイビスと解説のジョン・スモルツに叫んだ。

その後、37歳のベテラン左腕はゲレーロJr.を見逃し三振に仕留めてお役御免。ナ・リーグの監督でありドジャースでも指揮を執るロバーツが交代を告げ、記念としてボールをカーショウに手渡した。

ナ・リーグの『勝手に本塁打ダービー』

ホームランダービーには出場しなかったアロンソが、そのパワーヒッターっぷりを試合で存分に発揮した。六回無死一、三塁の場面でロイヤルズの左腕ブービッチの直球を捉え、逆方向への3ラン。ナ・リーグに5点リードをもたらす大きな一打となった。

「ここは信じられない雰囲気だよ」と地元ブレーブスファンから大ブーイングを浴びたアロンソは、本塁打後のベンチインタビューで語った。(メッツ所属のアロンソは、同じナ・リーグ東地区のブレーブスファンにとっては天敵)

その2人後に打席に立ったキャロルは、交代で登板したタイガースの右腕マイズから右中間へ豪快なソロ弾を放ち、ナ・リーグの勢いを加速させた。追い込まれてからの一打は、414フィート(約126メートル)の特大号となった。

この一打が、ダイヤモンドバックスの選手として史上初のオールスターでの本塁打に。チームの歴史を塗り替える一発となった。

自動ストライク・ボール判定システム、MLBの未来を先取り

『自動ボール・ストライク判定(ABS)チャレンジシステム』をリーグ戦で見るのもそう遠くないかもしれない。

春季キャンプで導入された、ABSシステムは初回からア・リーグによって使用された。カウント0-2からのボール判定に対して、バッテリーのローリーとスクーバルがほぼ同時にチャレンジを行い、結果として判定は覆った。

他にも、五回にウィルソンが、九回にはディアスがチャレンジを使用し判定が覆った。一方で八回には、ストワーズがストライク判定にチャレンジを行うも、これは覆らなかった。