ブルワーズとレイズは、シーズンを通して積極的に走り続けてきた。ワールドシリーズ制覇が懸かる今、その勢いを緩める気配はどちらにもない。
今年のワールドシリーズで注目なのが「スピード」だ。ブルワーズはMLB最速のチームで、レギュラーシーズンでは、平均スプリント速度と、俊足の目安となる秒速30フィート(約9.1メートル)以上の走り、通称「ボルト」の記録回数で、ともに1位に立った。レイズも平均速度はそこまで速くないが、ボルトの回数では2位だった。
そのスピードを生かし、両チームは多くの盗塁を重ねてきた。レギュラーシーズンのレイズは164盗塁でメジャー2位タイ。ブルワーズは162盗塁で同5位だった。
10月に入っても積極的な走塁は続いている。タンパベイはプレーオフ9試合で11盗塁を記録し、失敗は一度もない。一方、ミルウォーキーは8試合で12回試み、10回成功している。
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23日のワールドシリーズ開幕を前に、この顔合わせの歴史的な位置付け、注目の走者、そして相手の機動力を抑える力でどちらが勝るかを見ていこう。
ワールドシリーズでは珍しい顔合わせ
近年、この両チームほど走ったワールドシリーズ出場チームは少ない。実際、ワイルドカード導入後の1995年以降、レギュラーシーズンの盗塁数で今年のレイズとブルワーズを上回ったリーグ優勝チームは、わずか1球団だ。
ワイルドカード導入後のリーグ優勝チームの盗塁数上位
1位 2023年ダイヤモンドバックス:166盗塁
**2位 2026年レイズ:164盗塁
3位 2026年ブルワーズ:162盗塁
**4位 2001年ヤンキース:161盗塁
5位タイ 2014年ロイヤルズ:153盗塁
5位タイ 1998年ヤンキース:153盗塁
これほど盗塁の多いチーム同士がワールドシリーズで対戦する例は、さらに珍しい。地区制が導入された1969年以降、その年の盗塁数上位5球団から2球団がワールドシリーズに進んだケースは、今回でわずか4度目となる。
前回は2008年。142盗塁でメジャートップだったレイズが、136盗塁で4位のフィリーズと対戦した。シリーズは5試合で決着したが、両チームは合計14盗塁を記録。今世紀のワールドシリーズで最多となっている。
今年、その記録が更新されても驚きはない。
注目の走者たち
レイズの機動力の中心にいるチャンドラー・シンプソンは、極端に特徴が偏った打撃スタイルを持ち、現代の球界で非常に珍しい存在となっている。メジャーではまだ本塁打がなく、四球もめったに選ばない。それでも今季は打率.306と、MLBトップの42内野安打、ア・リーグトップの46盗塁を記録した。プレーオフでも既に3盗塁を加えている。
2026年のレイズでは、テイラー・ウォールズとセドリック・マリンズも、それぞれ21盗塁で20盗塁の大台に到達。リッチー・パラシオスとジョニー・デルーカは、ともに17盗塁を記録した。ビクター・メサJr.も、レギュラーシーズンではレイズで79試合に出場し、9盗塁で貢献。この5人は10月に合計8盗塁を決めている。
ブルワーズにはシンプソンほど突出した俊足選手はいないが、チーム全体のバランスで勝る。タンパベイの打線には、ジュニア・カミネロやヤンディ・ディアスなど、足が遅く、盗塁をほとんど試みない選手も複数いる。一方、ブルワーズでは今季、7人が11盗塁以上を記録した。デービッド・ハミルトンが121試合でチーム最多の30盗塁。この10月も、チームの8試合中、先発出場は3試合だけながら、盗塁を3回試みてすべて成功させている。
ジャクソン・チョーリオは、このプレーオフで出塁率.211にとどまり、走る機会にあまり恵まれていない。ただ、3年連続で20盗塁以上を記録しており、その実力は折り紙付きだ。新人遊撃手のクーパー・プラットにも注目したい。6月のメジャーデビュー後、74試合で19盗塁を記録している。
相手の機動力をどう抑えるか
両チームがスピードを備えるからこそ、相手の足をどちらが抑えられるかも焦点になる。2026年は、ブルワーズがこの点ではるかに優れていた。レギュラーシーズンのミルウォーキーは、許した盗塁が71個でメジャーで2番目に少なかった。一方、タンパベイは6番目に多い131盗塁を許している。
一見すると、捕手の盗塁阻止能力でブルワーズが大きな優位に立つように思える。2026年の盗塁阻止率は、ウィリアム・コントレラスが34%に対し、リアム・ヒックスは15.9%にとどまった。ただし、盗塁を防ぐ責任は捕手だけにあるわけではない。実際、スタットキャストの捕手送球指標は、それぞれに与えられた機会での結果を踏まえ、両者をかなり近い水準に評価している。
一方で、投手陣に目を向けると、事情が変わる。ブルワーズの投手陣は今季、盗塁を防ぐ能力でMLB屈指の成績を残してきた。一方、レイズの投手陣は最下位に近い。
Net bases prevented by pitchers, 2026 regular season + postseason
Expresses the skill of pitchers at preventing baserunners from advancing on the bases, via steal attempts or pickoffs/balks
投手による正味の進塁阻止数、2026年レギュラーシーズンとポストシーズンの合計
※盗塁の試みやけん制、ボークを通じて、走者の進塁をどれだけ防いだかを示す指標
1位 カブス:+31
2位 ロイヤルズ:+27
3位 ヤンキース:+27
4位 メッツ:+25
5位タイ ブルワーズ:+21
5位タイ ナショナルズ:+21
――
28位 レイズ:-28
29位 マーリンズ:-36
30位 ブルージェイズ:-48
その差は、第1戦で先発するミルウォーキーのジェイコブ・ミジオロウスキーと、タンパベイのドリュー・ラスムセンにも表れている。剛速球を投げ込む「ミズ」は、盗塁を決める相手として極めて手ごわい。一方、ラスムセンは最も走られやすい投手の一人だ。ラスムセンが許した23盗塁を上回る投手は、3人しかいなかった。
もっとも、ラスムセンはこの10月、走者を出さない投球で好成績を残している。21回を投げて許した安打は13本、四球は3個だけで、防御率1.29を記録している。
どちらの投手陣にとっても、走者を出さない投球が最も確実な方法となる。何しろ、塁に出なければ盗塁はできない。
