昨日のことのように感じられた東京シリーズから早くも1カ月が過ぎた。多くのサプライズがあった4月を経て、2025シーズンのMLBは5月へと突入した。
今月は、シーズン序盤の結果が、単なる「好不調」なのか、それとも「本物の実力差」なのか。その真偽が明らかになるタイミングと言えるだろう。今回は、そんな注目ポイントを7つ紹介する。
1. アーロン・ジャッジは打率4割台をどれだけ維持できるか?
絶好調のジャッジは打率.427で5月に突入。「史上最高の右打者」と目されるほどのスラッガーだが、これまでの10年のキャリアで打率が3割を超えたのは2度(2022、2024年)のみ。これほどまでの活躍は多くの人の想定を上回っているだろう。
これまでのシーズンで打率4割を維持して来た選手の最多記録は2023シーズン、ルイス・アラエスの78試合。昨年のアルトゥーべの18試合を早くも上回っているジャッジが、どこまでその数字を伸ばすのかも注目だ。
2. オリオールズは立て直せるか?
残念ながら、ここまで最も「期待はずれ」のチームはオリオールズだろう。勢いのある若手打線が不安を抱える投手陣を補ってあまりうるだけの活躍をしてくれる。開幕前にはそのような期待感が少なからずあったものの、予想以上に厳しいシーズンとなっている。
菅野が一人気を吐く投手陣は防御率5.47とMLB全体で29位。ただでさえ低かった期待を下回る内容に沈んでいる。
それ以上に苦しんでいるのが、期待されていた若手打線だ。昨年はMLB全体で4位の得点力を誇った打線が、今年は20位と調子がなかなか上がってこない。
この流れは昨季後半戦からの失速を引きずってのもの。昨年7月以降の通算成績は48勝60敗。若手が多い分、成長の余白はあるものの今月が再建と解体の分岐点になってもおかしくない。
3 NL西地区の“4強争い”は続くのか?
開幕前は「ドジャースの一強」と見られていたナショナルリーグ西地区だが、ここまでは4チームが勝率5割以上で激しい順位争いを繰り広げている。
シーズン前、多くの人が地区2番手と見ていたダイヤモンドバックスは打線が絶好調。一方で、チームの強みと考えられていたローテーションが足を引っ張っており、現時点では4位にとどまっている。
オフに珍しく静かだったパドレスは、フェルナンド・タティスJr.のMVP級の活躍に引っ張られて躍進している。
何より驚きなのは、ジャイアンツが接戦での勝負強さを武器に、ここまでの1カ月のほとんどを1位か2位で過ごしていることだ。今年から野球部門のトップに就任したレジェンド、バスター・ポージーのもと、素晴らしい滑り出しを見せている。その一方で、ドジャースは再び先発投手不足に陥りつつある。
多くの人がせいぜい二強の争いになると予想していた中で、今では四つ巴の戦いとなっているNL西地区。この流れはもう1カ月続くのか、それともドジャースが独走体制に入るか。
4. アクーニャJr.はブレーブス復活の起爆剤となるか?
開幕から7連敗を含む18戦13敗という最悪のスタートを切ったブレーブス。その後持ち直し、勝率5割前後まで回復している中、さらなる復調へ期待がかかるのがロナルド・アクーニャJr.の復帰だ。
昨季終盤の左膝のACL断裂での離脱から、5月上旬には戦列復帰が期待されている。彼が復帰すれば、攻撃面だけでなく守備・走塁のすべてでチームに勢いを与える存在になるだろう。
特にナ・リーグ東地区では、絶好調のメッツが首位を走っているが、主力選手たちの復帰で、「ブレーブスの逆襲」が見られる可能性は十分にある。
5. 混戦のAL西地区から抜け出すチームは?
現時点で最も拮抗している地区の一つがア・リーグ西地区だろう。好調なスタートを切ったエンゼルスが最下位に転落してしまったが、それでも首位から5.5ゲーム差と、まだ十分に射程圏内にいる。
それ以外のチームは勝率5割前後を行き来している。最近はマリナーズが勢いに乗って首位に立っているが、これまでも同じような展開は見てきた。
タレントの層ではレンジャーズが一歩リードしているようにも見えるが、ここにきてやや失速気味。アストロズも、王者の座を譲る気配はない。
新天地での戦いに苦しんでいたアスレチックスも、ようやく勝率5割を超えて浮上しており、まさに上から下まで混戦となっている。5月はこれに明暗がつくか、それともさらに混迷を極めるか。
6. 今年もトレード市場は5月に動くのか?
トレード市場といえば「7月末のデッドライン」が通例だが、近年は5月中の「前倒しトレード」も増えつつある。昨年はその象徴として、5月4日にマイアミ・マーリンズがルイス・アラエスをパドレスに放出する大型トレードを成立させて話題となった。
今季も、すでに「今年は勝負にならない」と見切りをつけるチームにとっては主力選手を「早期売却」した方が合理的だと考えても不思議はない。
例えば、予想以上に良いスタートを切ったとはいえ、マーリンズがサンディ・アルカンタラやジャズ・チザムといった選手をどう扱うかは注目。他にも、エンゼルス、パイレーツ、ツインズ、カージナルス辺りの動向にも目を向ける必要がある。5月中の戦績次第では、勝負を諦めて主力を放出し、2026年以降を見据えた再構築に舵を切る可能性がある。
7. 「投手・大谷翔平」の5月復帰はあるのか
今シーズン最大の注目テーマの一つが、大谷翔平の投手復帰であることは間違いない。ドジャースは慎重な調整を続けているが、先日、父親リストから復帰後、初のブルペン投球を実施したことで、登板に向けたプロセスが本格化し始めた。
現時点で5月中の公式戦登板はやや現実味に欠けるが、本来はそこを目標としていたため、今月が復帰に向けた加速期間になると予想される。とりわけ、ドジャースは現在、先発投手の頭数不足に悩まされており、今、大谷がマウンドに復帰することはより大きな価値がある。
「二刀流」復活へ。今季も話題の中心に彼の存在があることは間違いない。
