大きな変動があり、異常な状況が続き、結果も読めない。そんな激動の冬が続いている。これはもちろん、天気ではなく野球の話だ。(天気も同じくらい予想不能だったが)
各チームがフロリダとアリゾナでのスプリングトレーニングへ向かう前に、ここ数カ月で浮かび上がった主なストーリーを振り返ってみよう。
ジャイアンツが大学野球の指導者を監督に招聘
リードを守りきれなかったり、ストライクの判定に納得がいかなかったりした時に、メジャーの監督が苛立つのは当然だ。だが意外かもしれないが、彼らは「コーチ」と呼ばれることも嫌っており、MLBの世界では、チームの指揮官を「コーチ」と呼ぶのは無礼とされている。
ただ、新たにジャイアンツの監督に就任したトニー・ビテロを思わず「コーチ」と呼んでしまうのも無理はない。彼は大学野球で20年以上その肩書きで呼ばれ、テネシー大学では約10年間にわたりヘッドコーチとしてチームを全米屈指の強豪へと育て上げてきた。
昔と比べて、現代の監督業は大きく変化しており、メジャーやマイナーでの監督経験がない人物を起用することも、もはや珍しくはない。それでも、ジャイアンツが大学野球界から直接ヴィテロを引き抜いた今回の決断は、大学野球とMLBの関係が深まる中で画期的な一歩であり、その成否は非常に興味深い。
日本人スター選手たちの新天地
カレッジ野球とMLBの結びつきと同様、太平洋を越えた日米間のつながりもかつてないほど強固になっており、より多くの球団が、日本のプロ野球市場に積極的にスカウティングや補強で参入するようになった。
その象徴が、この冬にNPBからMLBへ渡った日本人スター3人(村上宗隆、岡本和真、今井達也)の誰一人として、西海岸の球団に加入しなかったことだ。
今井はア・リーグ西地区に所属しているが、カリフォルニアでも、イチローの古巣シアトルでもない。所属先は、これまでNPBのフリーエージェント選手を獲得したことがなかったアストロズだった。
メッツのオフシーズン全体
フアン・ソトを獲得した2025年のメッツはワールドシリーズ優勝候補と見なされ、6月13日時点ではMLB最高勝率を誇っていた。だがそこから失速して21勝35敗と、同期間においてナ・リーグで彼らより成績が悪かったのはロッキーズだけだった。この急落により、新シーズンに向けて大きな変化が必要となった。ただ、その「変化」がここまで大胆なものになるとは、誰も想像していなかっただろう。
- ピート・アロンソ、エドウィン・ディアス、ジェフ・マクニール、ブランドン・ニモが全員退団。
- ビシェットは、プロでは一度も守ったことのない三塁手として加入
- ホルヘ・ポランコは、一球しか守ったことのない一塁手として加入
- デビン・ウィリアムズとルーク・ウィーバーがヤンキースから加入
- フレディ・ペラルタをブルワーズから獲得
メッツは今オフ、最も興味深いトレードを3件成立させた。
ニモとマーカス・セミエンの1対1のトレードは、実績あるメジャーリーガー同士の交換でありながら、完全に予想外だった。伸び悩む元有望株ルイス・ロバートJr.を獲得したトレードも、非常に興味深い。そして、今冬のトレード補強の目玉となったのがペラルタだ。
今回も予測モデルはメッツを高く評価している。しかも、それは1年前とはまったく別のチームだ。今回こそ、この変化を結果へとつなげたいところだ。
オリオールズが打撃陣に大きく投資
昨季、期待を裏切ったもう一つのチームがオリオールズだ。自前の野手陣を中心にした黄金世代は、いまだポストシーズンで1勝すら挙げられていない。オフの動きとしては、昨季ローテーションが崩壊していたことを考えれば、投手面で大型補強すると予想されていた。しかし現時点で投手陣最大の動きは、才能はあるが実績は乏しいシェーン・バズの獲得にとどまっている。その代わり、大きな投資は攻撃面に向けられた。
ピート・アロンソに対する5年1億5500万ドル(約240億円)の契約は、一塁手として史上最高の平均年俸となった。さらに外野手テイラー・ウォードを1年だけ獲得するために、2018年ドラフト全体11位のグレイソン・ロドリゲスという、4年の保有権を持つ投手を放出した。
ディラン・シースとブルージェイズの大型契約
今となっては、投手のシーズン評価を防御率だけで判断すべきではないことは周知の事実だ。防御率は守備の影響や球質の良さ、そしてその他の細かい指標を覆い隠してしまう。
昨季パドレスで、シースの防御率は4.55だったが、スタットキャストに基づくxERA(期待防御率)は3.46と、1点以上低かった。被打率の期待値、速球の球速、チェイス率、空振り率など、多くの指標で上位20%以上に入っており、投球内容の良さが分かる。サイ・ヤング賞争いをしていた時期はそれほど昔ではなく、再びその水準に戻る姿を想像するのも難しくない。
それでも、ブルージェイズの7年2億1000万ドル(315億円)という契約は大胆な決断だった。昨年のナ・リーグ・ワイルドカード第2戦で、相手打線と3巡目で対戦させることを前所属球団が避けた投手であることを考えれば、なおさらだ。
この契約が成功か失敗かを断じるつもりはない。ただ、この契約は、投手評価における業界の進化を如実に示している。そして、ア・リーグ王者ブルージェイズにとって、極めて攻めたオフシーズンの象徴となった。
パドレスがトレードをしていない?
パドレスのAJ・プレラーGMは、昨夏のトレード期限でも健在ぶりを発揮し、クローザーのメイソン・ミラーを獲得する衝撃的なトレードを成立させた。
その後、プレラーの“トレード漬け”の在任期間を振り返る動画を作成したところ、プレラーが2014年8月にパドレスの編成本部を率いて以降、合計132件のトレードを行い、延べ373人の選手が関与していた。スター・ウォーズ風に流れていくトレード一覧は必見だ。
そんなプレラーが、オフシーズンを通してトレードを1件も成立させないとなれば、もはや安否確認が必要なレベルである。(AJ、まだ間に合うよ!)
パイレーツにとって久々の複数年契約
ポール・スキーンズを中心に、パイレーツが特別なものを築こうとしているようだ。カイル・シュワーバー、ジョシュ・ネイラー、エウヘニオ・スアレスといった、ビッグネームには振られてしまったものの、トレードで長打力が武器のブランドン・ラウと将来性のあるジョスティンソン・ガルシアを加えることに成功した。
さらにパイレーツは、一塁手ライアン・オハーンを獲得し、2016〜17年オフに投手イバン・ノバと契約して以来初めて、FA選手と複数年契約を結んだ。確かに勢力図を塗り替えるほどではない。だが、昨季117本塁打しか打てなかったチームにとっては、大きな前進だ。
デレク・フォルビーが「1月30日」にツインズを退任
肝心なのは日付だ。スプリングトレーニング開始直前に、編成本部のトップが交代するのは極めて珍しい。「編成およびビジネス部門統括社長」を務めていたフォルビーは、双方合意による退任という形でツインズを去った。
ツインズは失望続きの2シーズンを終え、対応も一貫していない。昨夏のトレード期限では10人の選手を放出したが、今オフは主力級を含めた本格的な売却には踏み込まなかった。
